キャッシュフロー分析-DCF 法

(4)DCF 法(Discount Cash Flow:ディスカウントキャッシュフロー)

キャッシュフロー分析での固定資産投資に対する投資効果の算定である DCF 法を取り上げる。
DCF 法は現在価値法と言われ、設備投資の投資効果判定のために現在最も多く使用されている算定法である。
この算定法の考え方は将来の投資効果を現在の価値に換算して投資対効果を算定することからこの呼称がある。
それでは現在価値の考え方を例を引いて話を進めよう。

1)現在価値
A 企業で5 億円の固定資産への投資をし、3 年後に10 億円の現金回収を見込んだ事業戦略を考えた。この企業は現在、売上高利益率10%の事業を営んでいるとする。“3年後の効果10 億円の現在価値はいくらが妥当であろうか?”が問題である。
この企業は売上高利益率が 10%であるから、現在の事業で元手の資金を年間10%ずつ増大させる事業力があると判定する。そうすると、現在5 億円を投資すると1年後5.5 億円に増やすことが出来るわけであるから、1年後の5.5 億円の現在価値は5 億円と捉えられる。

数式で表すと、5.5 億円/(1+0.1)=5 億円となる。同様に、n年後の投資効果は(1+0.1)nとして算定できることになる。
問題に戻って、3 年後の現金10 億円の現在価値は10 億円/(1+0.1)3≒7.5 億円 となる。
それでは、DCF 法を用いて、投資効果を算定してみよう。

2)投資効果の算定
下記の課題を想定しよう。
・n期の期初に 100 億円の設備投資をした。
・減価償却費は定額法で3 年償却。すなわち、3 年目まで毎年30 億円の減価償却費が発生する。
・税引き後利益の予測はn期末、n+1期末、n+2期末、それぞれ-18 億円、13億円、37 億円である。
・現在の売上高利益率は 10%である。
「現在のn期からの 3 年間の投資効果を算定せよ」が課題である。

①キャッシュフローの計算
まず、現金の収支であるキャッシュフローを計算する。この計算は税引き後利益に減価償却費を加えることで計算する。なぜなら、税引き後利益はキャッシュの支出のない減価償却費を差し引いて計算されているので、この減価償却費を税引き後利益に加算する。というのは、この費用は投資物件の価値低下を表す費用であるが、キャッシュの収支としては支出されないので差し引いてはいけないからである。
そうすると、n期、n+1期、n+2期の期末キャッシュフローは減価償却費の30億円を加算して12 億円、43 億円、67 億円となる。

②投資効果の現在価値の算出
現在価値は売上高利益率が10%であるので、(1+0.1)nで除して求められるのでn期、n+1期、n+2期の期末キャッシュフローの現在価値はそれぞれ(1+0.1)、(1+0.1)2、(1+0.1)3で除して11億円、36億円、50億円となる。

③投資対効果を算出
初期投資が100 億円であるから、n期からの3 年間の投資対効果は投資対効果=-100 億円+11 億円+36 億円+50 億円=-3 億円となる。
すなわち、この投資は-3 億円のキャッシュ持ち出しの事業と判定できる。
DCF 法は現在の投資金額を現在のキャッシュ価値に変換して効果を判定するから、早期にキャッシュの回収の出来る投資案が有利になることが分かる。

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