ランチェスターの戦略論-2

(3)下限目標
マーケット市場の26.12%を占有する状態です。シェア1 位を目指す初期目標となる。シェアトップほどではないが、ブランドはかなり浸透しシェア拡大の礎ができた状態である。コピー業界におけるキャノン、リコー、富士ゼロックスが各社30%から20%の状態で各社ともにこの状態にあり、各社相対的安定を狙っての競争環境にある。
この戦略論の基盤は“マーケットシェアを上げることで利益率が向上する”というものであった。“マーケットシェアを上げるためには何を為すべきか”が次のテーマである。
例として、ある町の住宅地に競合のA 社のスーパーがあり、B 社がスーパーの出店を企画する場合を採り上げて見よう。スーパーの商圏(集客できる範囲)は、スーパーを中心として通常、半径300mといわれている。

ランチェスター戦略によれば、この商圏を吸収するには、“300m先にこのスーパーを囲むようにB 社のスーパーを設置すること”を薦める。
取り囲むようにとはA社の1店舗をB社の3 店舗で取り囲むように設置することである。そうすると、B社のスーパーが増えるので、顧客の目に付き易くなると同時に、同種の商品、価格であれば数の多い利便性のあるB 社のスーパーが馴染み易くなってくる。そのうちに、A 社のスーパーの商圏はB 社の商圏に置き換わってしまう。 すなわち、A 社の商圏をB 社が吸収し、シェアが増大することになる。
ちなみに、セブンイレブンが1995年、ローソンの牙城であった大阪へ進出した時、「ドミナント戦略」と称してこの戦略を活用した。大阪地区に既存店舗として800 店舗あったローソンに対し、出店地域を決め、集中的にランチェスターでいう商圏囲い込みの戦略を採り、商圏を増やしていった。350店舗まで展開して始めて収益を確保できるようになったと聞いている。
この戦略をランチェスターでは「集中効果の法則」という。
この法則は、兵力の差で相手を圧倒することである。兵力の差は2乗の差といわれ、武器が同じであれば、1対2の戦いは1対4の力の差に匹敵するというわけである。
ランチェスター戦略にはもうひとつ「一騎討ちの法則」がある。
この法則は“戦闘力は戦術と武器性能比の差”であるという。戦闘では兵力の差があっても相手が鉄砲主力の部隊であれば機関銃や大砲を持つ部隊の方が戦闘を優位に進めることができるということである。
ビジネス環境に置き換えると、営業要員を使って1軒ずつ販売する方法に対して、ちらし広告や宣伝によってブランド力を上げ、少ない営業要員で販売を浸透させていく方法はこの「一騎打ちの法則」を用いていることになる。
「集中効果の法則」による戦略は数を頼みとした経営資源の量による戦略であるので「強者の戦略」といわれ、一方、「一騎討ちの法則」は戦術、すなわち知恵を使った戦略であるところから「弱者の戦略」といわれる。弱者は知恵を絞らなければ競争に勝てないということである。
それでは、強者と弱者の戦略の違いをみてみよう。
(1)「強者の戦略」:この戦略はマーケットシェアを拡大するために優位にある経営資源の総合力を使う。メディアを使った宣伝や販売代理店を設置等のチャネルを活用する確立戦、間接的戦略および経営資源を集中化して、圧倒的資源力で短期決戦といった戦略を採る。
(2)「弱者の戦略」:この戦略は経営資源が豊富にないので知恵を使ってシェアを拡大する戦略を採る。この例は、近所の元気の良い中堅スーパーや商店を見ると分かる。
見易いチラシ広告、新鮮な生鮮品、量は少ないけど何でも揃う品揃え、女性や子供の普段着に絞った衣服店、画一的でなく丁寧な説明で対応の良い営業員等に知恵を絞ったマーケティング活動を数多く見受ける。
弱者の戦略はマスメディアの宣伝や間接販売ではなく、顧客に直接会って訴えていく局地戦、接近戦、一点集中の戦略となる。
弱者、強者ともに強みと弱点を持っている。適切な戦略を展開すれば、シェアを拡大することは可能ということである。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする