差別化の戦略論

今までの戦略論では「事業ポジションがどこに位置づけられているか」がその論陣の起点であった。差別化戦略では企業の行動に焦点を当てる競争優位戦略である。
企業が競争優位のために競合企業と差別化できる行動を「業務の卓越性」、「緊密な顧客関係」、「製品の優位性」の3 つの要因に分類し、この要因の差別化ができれば競争優位に立つことができるという。

◆「業務の卓越性」とは、業務プロセスの卓越性のことで、その成果は品質、価格、納期に反映されることになる。
すなわち、高品質、低価格、短納期を成し遂げる業務プロセスが構築している企業は競争優位に立てるというわけである。
たとえば、デルコンピュータはインターネットによる24 時間365 日の受注体制と受注後4日以内に顧客へ納品できるサプライチェーンとしての業務プロセスを確立した。 また、文房具のアスクルも同様な仕組みで翌日顧客納品を可能にしている。
トヨタは「カンバン生産方式」によって、コスト低減と不良率の最小化を図っている。世界トップの自動車メーカーであるGM ですらこの「カンバン生産方式」をベストプラクティスとして必死に導入しようとしている。
このように「業務の卓越性」を有する企業は競争優位の事業展開を図っていくことが出来るわけである。
◆「緊密な顧客関係」とは、ビジネス上における顧客との関係の友好性をいう。
誰でも何かを購入するとき、「一元のセールスマンよりは馴染みのセールスマンを」、「商品押し付けのセールスマンより、よく話を聞いてくれて気持ちを理解してくれるセールスマンを」選ぶはずである。企業間のビジネスにも同様なことが当てはまる。
リッツカールトンホテルはリピート顧客率がもっとも高いホテルといわれている背景には相手の気持ちを理解したおもてなしが好評を博しているのである。
このホテルの経営哲学である「われわれは紳士・淑女をおもてなしする紳士・淑女である」のそのままの実践が徹底されていることになる。
ホテルというサービス業でもあることから「緊密な顧客関係」を気付く戦略を最優先としているわけである。
◆「製品の優位性」とは、製品やサービス機能(システム構築、保守サービス等)の競争優位性である。この分野で競争優位を保っている日本企業は数多くある。
2例挙げてみよう。
「痛くない注射針」で有名な岡野工業(株)は現在、世界で唯一の製品である。この企業に依頼するしかないので、圧倒的な製品の優位性を持って競争優位に立つことができる。
また、オンリーワン戦略で有名なシャープは液晶、電子ディバイス等を中心に新製品の開発スピードを上げることで競争優位を勝ち取る「製品の優位性」戦略を採っている。
以上のように、企業は競合他社に対して競争優位を保つためには、少なくとも1 つ以上の差別化された行動が採れる経営機能を有することが必須ということである。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする