~ビジネスプロセスコンサルティング~

「企業IT化」に求められる必要な知識として経営戦略、情報戦略の知識が必要であると前回申し上げました。経営戦略、情報戦略の講義に入る前にこれからの講義の前提となるITコンサルタントという新用語について考えてみたいと思います。

経営資源として「ひと」「もの」「かね」「情報」の資源が取り上げられてから久しいですが、その中で経営資源としての「情報」に大きな変化が出てきています。

SCMおよびERPを中心としたパッケージおよび最近のインターネット、ブロードバンド等のIT環境の急速な発展は経営活動を行う上において必要な情報を「いつでも」「どこでも」素早く提供できる環境になりました。

 情報が素早く的確に伝達されるようになると経営のスピードが加速しました。
 すなわち、売上、仕入、利益情報が瞬時に把握し、迅速な経営判断ができるようになり、経営戦略の結果の良し悪しが瞬時に把握できることになりました。

 しかしながら、この瞬時に情報を把握するしくみ創りがなかなか困難です。
 それは「何のためにその情報を瞬時に把握するのか?」の命題が定義されなければ情報の有効性がなくなるからです。この命題が「経営戦略」であり、その経営戦略を実施する仕組みづくりが「経営施策」であり、情報を作り出す仕組みが「ビジネスプロセス」である。「情報システム」はビジネスプロセスの情報を迅速化するための仕組みとなります。

 この4つのキーワード「経営戦略」、「経営施策」「ビジネスプロセス」「情報システム」を情報の観点から捉えますと
 
 (1)経営戦略
 経営戦略は同業他社に対して競争優位に立ち、収益を上げるために経営資源(ひと、もの、かね)を最適に配分することにあります。したがって、ターゲット市場や商品、サービスに対する目標の売上、コスト、利益が管理されるべき情報となります。

 すなわち、経営戦略は最終目標としての「情報」を設定してくれることになります。

 (2)経営施策
 経営戦略はその戦略に対応した業務遂行機能があって初めて達成されます。
 この業務遂行機能がビジネスプロセスです。経営戦略は経営環境の変化に対応して、随時変更されます。

 たとえば、ミシンメーカーであったブラザーはプリンターを中心としたIT機器が60%を占めています。これは経営戦略で事業転換したものです。この変換を業務遂行の立場で見ると、対象市場がまったく変わるため企業の機能プロセスとしての生産、販売、サービス等がミシンメーカーとしてのそれとは大きく変わることになります。

 すなわち、経営戦略はビジネスプロセスを大きく変えることになりますし、把握すべき経営、管理の情報も変化することになります。この情報を的確・迅速に捉えるためのビジネスプロセスを作る対策が経営施策となります。

 (3)ビジネスプロセス
 ビジネスプロセスは経営戦略を達成するために業務遂行情報が発生します。業務遂行情報には受注情報、発注情報、請求情報等があります。これらの情報を作成するためにビジネスプロセスの機能である受注業務、発注業務、請求業務が存在しているわけです。

 と言うことは、「業務処理とは情報の変換をすること」といえる。たとえば、発注業務は受注情報を発注伝票という情報に変換する作業です。ビジネスプロセスは業務機能による情報変換プロセスと捉えることができます。

 (4)情報システム
 情報システムは業務機能の情報変換を迅速、効果的にする仕組みです。この仕組みには

  1.経営戦略に沿った情報を計画し、検証できる計画/モニタリング(検証)情報システム

  2.ビジネスプロセスを計画に沿って実施し、その結果を収集・整理できるコアビジネス情報システム

  3.経営資源(ひと、もの、かね)を管理するための資源情報システム

  4.ビジネスプロセスでの経験や市場動向等を考慮し、計画やビジネスプロセスをよりよく改善するためのナレッジ情報システム

 が必要です

 まとめると、情報システムは経営戦略目的に沿ったビジネスプロセスの遂行情報を効率的に変換し、的確な経営判断情報を提供することと言うことになります。

 ITコーディネータ協会はこのようなシステムを「戦略目的適合性システム」と名づけました。このようなシステムを構築・運用するにはそれに対応した情報化のために計画、開発、運用、検証できるITガバナンスとしての仕組みがもとめられます。

 この「戦略目的適合性システム」を指導し作り上げていくのを「ビジネスプロセスコンサルティング」といい、その実践をする人を「ITコンサルタント」としました。

 次の第3回は「戦略目的適合性システム」の基礎となる経営戦略をテーマとします。

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