~経営成熟度-その1~

前回は「経営戦略策定プロセス」で経営戦略を策定する手順、すなわちプロセスとその考慮すべき要件を取り上げました。経営戦略策定の概略の手順はご理解いただけたと思います。
そこで今回はこの経営戦略を策定する際のもう一方の重要な柱である「経営成熟度」を取り上げます。
経営戦略は経営活動の観点から見ると競争優位のための仕組みづくりです。仕組みは人が関与することで機能します。企業活動で捉えますと、企業機能は購買、生産、販売、経理等に該当し、仕組みは○○事業部、購買部、製造部、販売部、経理部、そこに構成される社員ということになります。経営目標を達成するにはこの仕組みを有効に機能させる社員や組織の能力が必要です。 その能力とは、業務を満足に遂行できる社員や組織の能力と顧客、取引先や市民に対するコンプライアンス(=法令順守)や社会性の高さがあります。この能力があって、はじめて経営戦略を効果的に遂行できるわけです。
この能力を「組織の成熟度」又は「経営成熟度」と言います。

能力には通常、能力レベルがあるように経営成熟度にも成熟度レベルがあります。
日本経営品質賞委員会の資料を参照すると、この成熟度を6段階に分類しています。
「存在しない」「初期」「反復実施」「定義された」「管理された」「最適化した」の6段階を定義し、それぞれを成熟度レベル0,1,2,3,4,5に対応付けています。

■成熟度レベル0「存在しない」
 組織が経営課題に対して認識すらない段階です。したがって、組織プロセスは存在しません。たとえば、社会的不正を組織ぐるみで実施している段階はこのレベルです。

■成熟度レベル1「初期」
 組織は経営課題に対する必要性を認識しています。このレベルも標準の組織プロセスはありませんが、必要に応じて個別に対応している段階です。たとえば、セキュリティのためのIDやパスワードは提供しているが、問題が発生するまで更新の対処を行っていないため、対処できる人を都度大騒ぎして探し対処するレベルです。

■成熟度レベル2「反復実施」
 標準手順も研修も無いが、経営課題に対し個別の手順がある。 その有効な手順を実施・指導する人がおり、教わった後進はその手順を反復実施できるレベルです。たとえば、システム設計の手順を徒弟制により訓練している段階はこのレベルに相当します。

■成熟度レベル3「定義された」
 課題解決手順は標準化され、文書化されており、社員への周知徹底のために教育され、また手続きは遵守されていますが、この手続きが客観的に有効であるかを判定するレビューの仕組みは存在していません。したがって、経営方針・目標の下に実施した達成度が未達であった場合、その原因を究明せずに次の新たな目標を設定する組織のレベルです。しかし、このレベルは企業が組織活動していく上において基本となるレベルです。

■成熟度レベル4「管理された」
 継続的なプロセスの改善と改定ができるレベル。すなわち、組織のプロセス機能は周知徹底され、その結果を監視し、課題解決のための対処が実施される。たとえば、目標売上が未達成の原因分析がある周期を持って実施され、改善のためのフィードバックループが出来上がっている組織レベルであり、定期的に改善が施されることになります。
企業としてはこの組織活動レベルが期待されます。

■成熟度レベル5「最適化した」
 改善のフィードバックループが継続的になされている組織状態です。たとえば、トヨタのカンバンでの改善は毎日、数百件の提出改善の対策がなされるそうです。このような状態は個々人が改善のフィードバックループを実践できる能力を持っているし、そのように高める組織の学習能力があるわけです。このようなベストプラクティス状態のレベルです。

第8回はここで終了します。経営成熟度とは何かについて取り上げました。次の第9回では経営成熟度に影響要因と成熟度の高め方を「経営成熟度―その2」のテーマとします。

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