経営戦略論-4つの経営戦略論

前回は「経営成熟度」で経営戦略との関わりについて取り上げました。経営成熟度が経営戦略に及ぼす重要性は概ねご理解いただけたと思います。 そこで今回は経営戦略を創出していくときのアイデアの基盤となる「経営戦略論」を取り上げます。

企業を競争優位に位置づけている優秀な経営者は先見性のある経営戦略を実践しているといえると思います。それでは、その先見性のある経営戦略とは何でしょう。
先見性をもった経営戦略を策定するにはその戦略判断の基になる十分なナレッジベースと決断力が不可欠でしょう。 ここではそのナレッジベースに焦点を当てて進めようと思います。そのようなナレッジベースとして4種類の知識を取り上げました。

その知識とは、
(1)経営戦略判断の基礎知識:先賢の経営観や自身の経営経験に基づき築き上げた競争優位のための戦略判断の常識的視点です。投資すべき市場(=戦略分野)や経営環境の変化の中で状況判断をするための知識です。過去の天才経営者の経営実績やその実績をもとに作成された経営戦略論がそれを習得するに手っ取り速く習得する知識となります。次の回から順次取り上げていきます。

(2)経営手法の知識:経営環境の状況判断ができてもこの状況を科学的に戦略や戦術(=施策)に具体化する手法が必要です。自社の組織体力としての内部環境要因および業界やPEST(第8回で取り上げましたので参照ください)などの外部環境要因を基にして、合理的に経営戦略や施策に展開する知識です。
キャノン(株)では月次連結決算書が翌月6日で提出されるということです。
世界中の商品売上の推移が当月6日目には工場側で把握できるそうです。生産計画はその報告に基づき作成されることになります。まさに経営を科学にした例といえます。
このシリースでは経営戦略手法としての「SWOT分析」「バランススコアカード」等を手法として取り上げます。

(3)組織成熟度に対する認識:自社の組織能力や体力を判断する上での基礎情報知識です。 前の8回、9回で取り上げましたので、ここでは省略します。

(4)時流に対する知識:政治、経済、業界での時々刻々と変わる経営環境の変化を捉える知識です。通常、新聞・雑誌・TVニュース等メディアからの提供情報を個々に整理し、方向性を見極めることになります。
この時流の知識をもって、経営戦略に対する最終的な経営判断を下すことになります。
以上4つの知識です。
まとめますと、優秀な経営判断のための知識は?経営戦略判断の基礎知識からの経営、?経営手法の知識、?組織成熟度の認識、?時流に対する知識の4つの知識を基にしたナレッジシナジーが必要です。

そこで、まず、経営観のための「経営戦略判断の基礎知識」を数多くの戦略論の中から選択し、次回から要約解説していこうと思います。次の4つの経営戦略論です。
■ コトラーの戦略:市場地位での戦略論
■ ランチェスター戦略:事業の市場占有率に基づく戦略論
■ PPM戦略:事業を市場成長率と占有率で捉える戦略論
■ 差別化戦略:競争優位性のための要因を捉えた戦略論

第10回はここで終了します。経営戦略論は経営判断の基礎知識です。 次の第11回からは取り上げる4つの経営戦略論の最初のテーマとして「経営戦略論―コトラーの戦略論」を取り上げます。