ランチェスターの戦略2-4つの経営戦略論

前回は「経営戦略論-ランチェスターの戦略1」でマーケットシェアと市場地位の観点に焦点を当てました。 今回は市場の占有率すなわちマーケットシェアを向上するための方策としてのランチェスター戦略を取り上げます。

この戦略論の基盤は“マーケットシェアを上げることで利益率が向上する”というものでした。
マーケットシェアを上げるためには何を為すべきなのでしょうか?

例として、ある町の住宅地に競合のA社のスーパーがあり、B社がスーパーの出店を企画する場合を採り上げて見ましょう。
通常、スーパーの商圏(集客できる範囲)はスーパーを中心として半径300mといわれています。ランチェスター戦略によれば、この商圏を吸収してしまうには、“300m先にこのスーパーを囲むようにB社のスーパーを設置すること”といいます。


取り囲むようにとはA社の1店舗をB社の3店舗で取り囲むように設置することです。
そうしますと、B社のスーパーが増えますので、顧客の目につきやすくなり、また、同種の商品、価格であれば数の多い利便性のあるB社のスーパーがなじみ易くなってきます。 そのうちに、A社のスーパーの商圏はB社の商圏に置き換わってしまいます。
すなわちB社のシェアが増大することになります。

ちなみに、セブンイレブンが1995年、ローソンの牙城であった大阪へ進出した時、“ドミナント戦略”と称してこの戦略を活用しました。大阪地区に既存店舗として800店舗あったローソンのコンビニ対し、出店地域を決め、集中的にランチェスターで言う商圏囲い込みの戦略を採り、商圏を増やしていきました。350店舗まで展開して始めて収益を確保できるようになったと聞いています。

(1)この戦略をランチェスターでは「集中効果の法則」といいます。
この法則は、兵力の差で相手を圧倒することです。兵力の差は2乗の差といわれます。1対2の戦いは1対4の力の差に匹敵するということです。

(2)ランチェスター 戦略にはもうひとつ「一騎討ちの法則」があります。
この法則は“戦闘力は戦術と武器性能比の差”であるといいます。戦闘では兵力の差があっても相手が鉄砲主力の部隊であれば機関銃や大砲を持つ部隊のほうが先頭を優位に進めることができるということです。

ビジネス環境に置き換えますと、多くの営業要員を使って販売することに対して、ちらし広告や宣伝によってブランド力を上げ少ない営業要員で販売を浸透させていく方法です。 「集中効果の法則」による戦略は数を頼みとした経営資源の量による戦略ですので「強者の戦略」といわれます。一方、「一騎討ちの法則」は戦術、すなわち知恵を使った戦略ですので「弱者の戦略」といわれます。

それでは、強者、弱者の戦略を見ていきましょう。
(1)「強者の戦略」:この戦略はマーケットシェアを拡大するために優位にある経営 資源の総合力を使います。メディアを使った宣伝や販売代理店を設置してのチャネル活用した確立戦、間接的戦略および経営資源を集中化して短期決戦といった戦略を採ります。

(2)「弱者の戦略」:この戦略は経営資源が豊富にありませんので知恵を使ってシェアを拡大する戦略を採ります。
たとえば、近所の元気の良い中堅スーパーや商店を思い出してください。見易いチラシ広告、新鮮な生鮮品、少ないけど何でも揃う品揃え、女性や子供の普段着に絞った衣服店、画一的でなく丁寧な説明で対応の良い営業員等に数多く気付きませんか?
弱者の戦略はマスメディアの宣伝や間接販売ではなく、顧客に直接会って訴えていく局地戦、接近戦、一点集中の戦略です。

弱者、強者ともに強点と弱点を持っています。適切な戦略を展開すれば、シェアを拡大することは可能ということです。

第13回はここで終了します。ランチェスターの経営戦略論を2回に亘って述べてきました。次回は経営戦略論の第3回目として、ボストンコンサルティンググループが提案した「PPM(Product Portfolio Management)」を取り上げます。