差別化戦略-4つの経営戦略論

前回は「経営戦略論-PPM」でSBUの市場成長率と市場占有率の関係からの戦略の捉え方に焦点を当てました。 今回は経営戦略論の第4弾として「差別化戦略」を取り上げます。

今までの戦略論では「事業ポジションがどこに位置づけられているか」がその論陣の起点でした。差別化戦略では企業の行動に焦点を当てた競争優位戦略です。
企業が競争優位のために競合企業と差別化できる行動を「業務の卓越性」「緊密な顧客関係」「製品の優位性」に3つの要因に分類し、この要因の差別化ができれば競争優位に立つことができるとしました。

■「業務の卓越性」とは、業務プロセスの卓越性のことで、その成果は品質、価格、納期に反映されることになります。
すなわち、高品質、低価格、短納期を成し遂げる業務プロセスが構築している企業は競争優位に立てることになります。
たとえば、デルコンピュータはインターネットによる24時間365日の受注体制と受注後4日以内に顧客へ納品できるサプライチェーンとしての業務プロセスを確立しました。 また、文房具のアスクルも同様なしくみで翌日顧客納品を可能にしています。
トヨタは「カンバン生産方式」によって、コスト低減と不良率の最小化を図っています。世界トップの自動車メーカーであるGMですらこの「カンバン生産方式」をベストプラクティスとして必死に導入しようとしています。
このように「業務の卓越性」を有する企業は競争優位の事業展開を図っているわけです。

■「緊密な顧客関係」とは、ビジネス上における顧客との関係の良好性を言います。
みなさんも何かを購入するとき、「一元のセールスマンよりは馴染みのセールスマンを」、「商品押し付けのセールスマンより、気持ちを理解してくれるセールスマンを」選ぶはずです。企業間のビジネスにも同様なことが当てはまります。
リッツカールトンホテルはリピート顧客率がもっとも高いホテルといわれています。
相手の気持ちを理解したおもてなしが好評を博しているようです。
このホテルの経営哲学である「われわれは紳士・淑女をおもてなしする紳士・淑女である」のそのまま実践が徹底されているのでしょう。
ホテルというサービス業でもあることから「緊密な顧客関係」を気付く戦略を最優先としているわけです。

■「製品の優位性」とは、製品やサービス機能(システム構築、保守サービス等)の競争優位性です。この分野で競争優位を保っている日本企業は数多くあります。
2例挙げてみましょう。
「痛くない注射針」で有名な岡野工業(株)は現在、世界で唯一の製品です。この企業に依頼するしかありませんから、圧倒的な製品の優位性を持って競争優位に立つことができます。
また、オンリーワン戦略で有名なシャープは液晶、電子ディバイス等を中心に新製品の開発スピードを上げることで競争優位を勝ち取る「製品の優位性」戦略を採っています。

第15回はここで終了します。差別化戦略では競争優位を築くための企業行動の戦略の捉え方を述べてきました。経営に関する基礎知識はこの辺にして、次回からは経営戦略策定のための手法を取り上げていきます。第16回では「経営戦略策定メソドロジーの体系」としてメソドロジー全体を鳥瞰します。