~経営戦略策定メソドロジーの体系-1~

前回は「経営戦略論-差別化戦略」では競争優位を築くための企業行動の戦略の捉え方を述べ、経営に関する基礎知識は概ね修了しました。 今回からは、経営戦略策定のための手法を取り上げていきます。

第7回の「経営戦略策定プロセス」で経営戦略を策定する概要の手順にメソドロジーを関係付け、今回は「経営戦略策定メソドロジーの体系」として、その手順の中で使用される経営戦略策定メソドロジーの位置づけとその意義の観点で全体を鳥瞰してみようと思います。メソドロジーの詳細は後続の講義でここに取り上げていきます。

経営戦略策定のプロセスは顧客価値を高め、自社の収益を確保する事業モデル、すなわち「ビジネスモデル」を構築するプロセスです。このプロセスには「内部・外部環境分析」「経営戦略と事業定義」「経営施策策定」「ビジネスモデルの検証」「事業収益評価」「経営管理指標の設定」の各ステップで構成されます。

(1)「内部・外部環境分析」ステップ
内部環境分析は経営活動としての事業機能や経営資源が競合他社に対して強いか、弱 いかを分析し、外部環境分析はPESTや業界の環境が自社のビジネスに与える影響の分析(機会/脅威)でした。(第7回経営戦略策定プロセスを参照ください。)このステップのメソドロジーを見てみましょう。

■外部環境分析のメソドロジーには「5つの競争要因分析」(ポーター)がありま す。
自社の業界における状況を「新規参入の視点」「顧客の視点」「供給業者の視点」 「代替品の視点」「競合企業の視点」の5つの視点でとらえて分析します。

■内部環境分析のメソドロジーには「バリューチェーン分析」(ポーター)や「経営 成熟度分析」(日本経営品質賞)等があります。
「バリューチェーン分析」は内部業務プロセス機能に焦点を当て、付加価値(バリュ ー)を高めるための要因の分析をします。
■「経営成熟度分析」は企業組織の成熟度に焦点を当て、事業展開する上において必 要となる成熟度向上の要因分析を行います。(第8回、第9回経営成熟度を参照ください。)

(2)「経営戦略と事業定義」ステップ
内部環境、外部環境の状況を判断し、競争優位を築くための重要成功要因(=CSF) から、コアコンピタンス(同業他社に対し競争優位にある自社の中核的力)を見極め、事業定義へ展開するステップです。
このステップのメソドロジーには「SWOT分析」があります。

「SWOT分析」は、
内部環境分析による強み/弱みと外部環境分析による機会/脅威から、経営戦略の要 因としてのCSFを創出するメソドロジーです。
このCSFを基にコアコンピタンスを見極め、このコアコンピタンスに対して顧客およびその顧客ニーズがマッチする領域を事業(=事業ドメイン)として定義します。

(3)「経営施策策定」ステップ
事業ドメインが決まると、具体的な戦術である経営施策を策定することになります。
経営施策を策定することは、経営資源である「ひと、もの、かね」の投資を明確にすることになります。
なぜなら、「販売店の増設」、「新規設備導入」「営業員の増員」や「XXシステムの構築」といった経営施策は投資する「もの」や「ひと」を定義することになるからです。
経営資源の「かね」は「ひと」「もの」投資を支える資源となります。
このステップで使用するメソドロジーには「バランススコアカード」があります。

「バランススコアカード」は、
経営戦略をもとに経営施策へ具体化していく手法です。
「財務の視点」「顧客の視点」「内部業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」の4 つの視点で経営戦略を支える経営施策を策定していきます。

第16回はここで終了します。
経営戦略策定プロセスの前半のプロセスと主要メソドロジーの位置づけとそのポイントを述べてきました。次回は後半のプロセスに対するメソドロジー位置づけと経営施を経営施策たらしめる要件を取り上げます。第17回では「経営戦略策定メソドロジーの体系-2」として経営戦略策定プロセスにおけるメソドロジーの全体鳥瞰概説を完成する予定です。

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