~バリューチェーンと5つの競争要因分析~

前回の「経営戦略策定メソドロジーの体系-2」では、経営戦略策定プロセスである内部・外部環境分析」「経営戦略と事業定義」「経営施策策定」「ビジネスモデルの検証」「事業収益評価」「経営管理指標の設定」の各ステップで関連する主要なメソドロジーを鳥瞰しました。

今回は各ステップで紹介した主要メソドロジーのトップバッターとして、「内部・外部環境分析」ステップのメソドロジーである「バリューチェーンと5つの競争要因分析」を取り上げます。

「バリューチェーンと5つの競争要因」はマイケル・E・ポーターによって提唱されたメソドロジーです。「バリューチェーン分析」は業務プロセスを中心とした内部環境分析の視点に立っており、「5つの競争要因分析」は業界環境を中心とした外部環境分析の視点に立っています。 ここでは内部環境分析である「バリューチェーン分析」から採り上げていこうと思います。

■バリューチェーンとは付加価値を作る業務プロセスを言います。
 製造業を採りますと、その業務の流れは材料を購買し、製造によって製品を作り、販 売店へ出荷し、お客様へ販売そして保守などのアフターサービスを行う業務の流れで構成されます。 この一連の業務活動は100円の材料を200円として販売できる製品とするための付加価値をつける活動であります。
すなわち、この活動は価値をつけるための連鎖、業務の「価値連鎖」であることから、バリューチェーンといいます。

また、バリューチェーンにおける付加価値はここで述べたように材料購買からアフターサービスまでの直接、価値をつける「基幹業務」とその基幹業務の付加価値形成を支える人事・労務、研究開発、調達、総務等のいわゆる本社機構といわれる「支援業務」とで作り上げられるものです。
したがって、バリューチェーン分析は基幹業務と支援業務に対してよりマージン(=利益)を上げるまたはコストを下げるための改善分析をすることになります。

改善分析は「個々の業務の改善」と「業務活動の共通化」の2つの側面から行います。

■「個々の業務の改善」分析とは、
 個々の業務の品質を上げ、製品のコストを低減する改善分野を明確にすることです。
基幹業務の改善分野を見てみますと、「材料・資材調達の最適なタイミング」「製造リードタイムの短縮」「効率的な配送」などが挙げられますし、支援業務の分野では「最良立地の倉庫」「営業・技術要員の教育」「情報システム化」などがあります。
このように基幹業務と支援業務における個々の業務の改善分野を明確にし、改善策を立てていくことがこの分析です。

■「業務活動の共通化」分析とは、
 業務を共通化することでコスト低減を図る考え方です。たとえば、冷蔵庫を製造・販売している事業と洗濯機を製造・販売している事業があるとしましょう。
両製品のバリューチェーンを良く見ますと、基幹業務の材料購入、製品加工・組み立て、出荷物流、販売、アフターサービスの各業務のなかで、材料の共同購入や製造ラインの共有、共同配送、保守要員等、共通化できる業務活動があれば、その業務を共通化することです。
共通化することで、それぞれの事業で100人掛かっていた要員が120人にまとめられるかもしれません。 そのことで、より強い付加価値が生まれることになります。
 すなわち、製品間、事業間の支援業務、基幹業務を共通化することは付加価値を創造することになります。この分析が「業務活動の共通化」分析です。

第18回はここで終了します。
今回はマイケル・E・ポーターのバリューチェーン分析を概説しました。
次回はポーターのもう1つの分野である「5つの競争要因分析」を取り上げます。

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