~バランススコアカード-2~

前回は経営施策策定の主要メソドロジーである「バランススコアカード」の基本要素である4つの視点を取り上げました。
今回からの2回はこのバランススコアカードの4つの視点をどのように活用するかに焦点を当てます。1つは「4つの視点の因果関係」の活用、もう1点は「業績評価指 標の設定」への活用です。今回は「4つの視点の因果関係」です。
 
バランススコアカードの4つの視点には「財務の視点」から順に「顧客の視点」、 「内部業務プロセスの視点」、そして「学習と成長の視点」の間に因果関係があります。もし、その関係が成り立つとすれば、財務の始点である経営目標をトップダウンで従業員に対する施策まで展開できることになります。
それでは、その関係を捉えてみることにしましょう。

(1)財務の視点
「財務の視点」での目標は売上高や利益高であり、経営施策は売上高向上、利益率の向上やコスト低減といった収益(=売上や利益)に直接関連するものでした。
この収益向上のための施策は何でしょう。
収益が上がるということは、お客様が商品やサービスを購入してくれるからです。当たり前のことかもしれませんが、なぜ購入してくれるのでしょうか。
これも当たり前かもしれませんが、その商品やサービスがその顧客のニーズやウォンツの合致する顧客の満足のいくものであったからでしょう。
すなわち、顧客満足度が高いと収益が向上することになるわけです。

(2)顧客の視点
 顧客の満足度の要件を考えると、品質が良くて、安価で、必要なときに入手できると満足度が高くなります。ここでは、これらの要件が顧客満足度を高める3大要件としてみましょう。
収益を向上するためには、顧客に対する施策が顧客の満足度を高め、購買意欲を高めるものでなければなりません。とすれば、そのような施策を満足できる要素を提供できるしくみが必要になります。これらの仕組みは社内の業務で作り出すしかありません。
すなわち、バランススコアカードでの「内部業務プロセスの視点」の施策に懸かってくるわけです。

(3)内部業務プロセスの視点
  顧客の満足度向上の要素である
・品質を良く品質を良くする」には、性能の良い機械を設置したり、製造手順や標準化によって欠陥品を最小限にする工程や業務手順・標準を作る必要があります。
・「安価な商品を作る」には、不良品を無くす仕組みに加えて、不良在庫を抱えない仕組みを構築する必要があります。
・「顧客が必要なときに入手できる」ためには、業務プロセスを納期ぎりぎりでなく、早めのリードタイムに仕上げる仕組みや物流体制の整備が必須となります。
これらの施策は顧客の満足度を高めるための「内部業務プロセスの視点」での経営施策として設定されることになります。

(4)学習と成長の視点
 すでにお分かりのように、内部業務プロセスの視点での経営施策を達成するにはその業務プロセスに従事する従業員やマネジメントのスキルが係わることになります。
すなわち、内部業務プロセスの視点で打ち出された経営施策に対して、追従できる従業員やマネジメントの遂行能力を高める研修やOJT指導が必要ですし、実践における知恵や、工夫を速く他の従業員に伝達・周知できることが必要です。
そうすることで、より効果的な内部業務プロセスでの経営活動ができることになります。これらの施策は「学習と成長の視点」の経営施策として設定されることになります。

以上、見てきましたように、「財務の視点」から「学習と成長の視点」までの施策には上位から下位の視点に対する因果関係が存在することがお分かりになったと思います。
ロバート・S・キャプランは経営施策をこの因果関係をのもとにしたトップダウン展開で策定しました。当たり前のことですが、今までこの当たり前の考え方が出てこなかったのですから、気づくのは大変なことであることが分ります。

第25回はここで終了します。
今回はテーマとして「バランススコアカード―2」としてバランススコアカードの4つの視点の因果関係を取り上げました。
次回はBSCのもうひとつの活用法である業績管理指標作成の考え方を「バランススコアカード-3」で取り上げます。

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