~バランススコアカード-3~

 今回はこのバランススコアカードの「4つの視点」のもう1つの活用法である「業績管理指標の設定」を取り上げます。
 
前回取り上げた4つの視点の因果関係によって作成された経営施策(=BSCでは戦略目標という)はその施策が確実に実施されたか否かをモニタリング(=検証&是正)することができるように計数化することが必要です。
この係数化された指標をKPI(=Key Performance Indicator)といい、経営施策すなわちその業績を管理することから業績評価指標とも言われます。

(1)KPI(=業績評価指標)
 KPIはその指標の依存関係から、上位にある「成果指標」と成果指標の下位層にあ る指標の「先行指標」の2種類の指標に分解します。
たとえば、売上高、利益高や利益率などは成果指標であり、この成果指標の下位層にある顧客満足度や納期遵守率などは先行指標といわれます。
4つの視点の因果関係で述べた「財務の視点」「顧客の視点」「内部業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」のKPIは順に「成果指標→先行指標=成果指標→先行指標=成果指標・・・」の関係にあるわけです。
この見方がKPIの1つの見方です。

もうひとつの見方は財務の視点と顧客の視点のKPIを成果指標のKPIとし、内部業務プロセスの視点と学習と成長の視点を先行指標のKPIとする見方です。
この見方は「財務の視点」や「顧客の視点」の指標を成果指標とし、「内部業務プロセスの視点」と「学習と成長の視点」は成果指標を達成するための先行指標(=プロセス指標)として捉えます。プロセス指標はヒトやモノが実際に活動するための指標であり、成果目標はその活動の集積として捉えられるからです。
さて、このKPIを経営施策から如何にして作成するかを考えて見ましょう。

(2)経営施策(=戦略目標)のKPI化
 経営施策のKPI化は「経営施策」→「重要成功要因(=CSF)」→「業績評価指標(=KPI)の手順で指標化する。
例として、4つの視点の因果関係の展開で経営施策が財務の視点から順に、「利益の増大」→「顧客満足度向上」→「納期遵守」→「社員満足度向上」が策定された仮定しましょう。
「利益の増大」と「顧客満足度向上」の指標化を例にとってご説明しましょう。

 ■「利益の増大」の指標化
 この施策は利益額や利益率としてすぐ指標化できることが分ります。
ただし、この指標だけでは施策の意味を十分に表していないと困ります。この施策の意味が「売上高の増大」と「コストの削減」であったとすると、成果指標のKPIである「利益率」のもとに、その意味付けされた先行指標のKPIである「売上高成長率」や「売上高コスト比率」が設定できる。 このKPIは施策の業績をより具体的に評価できる下位の指標となっている。ここで考慮したこの意味づけをBSCではCSFといいます。

 ■「顧客満足度向上」の指標化
 この施策は顧客満足度指数として指標化できます。
ただし、この指数は顧客からのアンケート等を踏まえて集積するしかありませんので、より人為的な操作が加わることになりますのでKPIとしては不適切です。KPIは業績評価指標ですから、より客観的な計数値で評価されるべきです。
上記と同様にCSFを考えますが、このような計数化されていない施策に対するCSFの発想の仕方は異なります。
「顧客満足度が向上した時、どのようなビジネス状態になっているか?」とイメージしてください。そうすると、きっと顧客数が増えたり、提案契約数が増えたりしていることがイメージできるでしょう。このイメージからCSF要因として「顧客数増大」や「提案契約数の増大」を導き出します。
この要因を計数化しますと、KPIとしてより客観的な「顧客増加率」や「提案契約数」という指標が設定できます。

第26回はここで終了します。
BSCの「2つの活用の側面」を前回と今回に亘ってまとめました。
次回はこれらの経営施策を用いて経営戦略で定義した事業ドメインに対し、事業を展開することになります。新しいビジネスであり、この事業がビジネスモデルとして成り立つかの検証が必要です。
次回はこの「ビジネスモデル」に焦点を当てます。

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