~損益分岐点-1~

経営戦略に基づき策定した経営施策は企業にどの程度の利益や収益をもたらすかを計数的に把握することが必要となります。そこで、今回はメソドロジー「損益分岐点分析」に焦点を当てようと思います。

損益分岐点分析は事業収支計画を見極める手法として良く使用されます。
その理由は、
この分析が事業収支を表す損益計算書の科目を固定費と変動費という概念で括り、今後の収支分析を分りやすく、容易にしたことにあります。
まず、固定費と変動費の概念を見てみましょう。

(1)固定費
固定費とは「売上の変動に影響されずに固定的に支出される費用」を言います。
その費用には人件費、家賃そして減価償却費などがあります。売上とは関係なく支出される費用だからです。

■人件費は社員の給料ですから、売上によって即変動することはありません。家賃も同様です。これらの経費は経営施策によって要員を増員したり、事業所を拡張したりすれば固定費の増分となるわけです。

■減価償却費は経営施策としての有形固定資産への投資、すなわちコンピュータ投資や工場建設投資などの「モノ」への投資によって発生します。
会計上では、こういった「モノ」をお金を出して購入しますと、お金と同じ価値の「モノ」に価値が移ったとみます。財産を指輪で持つか現金で持つかと同様で価値が移転しただけです。とすると、価値が同じですから、この「モノ」購入は経費という損失が生じないことを意味しているわけです。
ただし、一般に企業が購入しますコンプータや建物は年月が経つと価値が下がり、同じ金額で売り払うことは不可能です。この価値の下落分を減価償却費として会計ルールを決め、下落分を年毎に一定の費用として計上することに決めたわけです。
(このルールには毎年の価値下落を一定額とする「定額法」と毎年の価値下落を一定率とする「定率法」があります。
この費用も売上によって変動する費用ではありませんので、固定費であり、「モノ」への投資が増大するとこの費用が増大することになります。

以上、見てきましたように、経営戦略を実践するための経営施策で「ヒト」を増員したり、「モノ」を購入することはその増分のみ固定費の増加と考えて良いとになります。

それでは、もう一方の変動費を見ていきましょう。

(2)変動費
変動費とは「売上の変動に比例して支出される費用」を言い、その費用には売上原価、外注費などがあります。

■売上原価とは流通業では仕入代金ですし、製造業では製造代金(=製造原価)を言います。共に、売上が増大するとその比率で仕入れ、生産の増大が発生します。
すなわち、売上に比例して変動する費用となりますので変動費といいます。

■外注費は、流通業では物流の委託や倉庫作業の委託などがあり、製造業では部品加工の委託などが該当します。これらの費用も売上の増大に伴って、委託費用が比例して増大しますので変動費となります。

以上、見てきましたように、変動費は売上高目標を設定することによって、変動費の値が決まってきます。

事業計画による収支を捉えるとき、固定費と変動費の概念を取り入れると、売上目標を前提として変動費が決まり、この売上高を達成する「ヒト」と「モノ」への投資量が決まると固定費が決まり、利益も算出できることになります。

第32回はここで終了します。今回は損益分岐点分析の基礎知識である固定費と変動費を捉えました。
次回は、この基礎知識を元に事業の収益分析である損益分岐点分析を実施してみましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする