~損益分岐点-2~

前回はメソドロジー「損益分岐点分析」の基礎知識として固定費と変動費を取り上げました。
今回は、この知識をもとに、損益分岐点分析を実施してみましょう。

損益分岐点分析では、固定費と変動費そして売上高の関係を2次元の図表として分析します。それではこの固定費と変動費を使って、収支分析をする損益分岐点分析図を描いてみましょう。

(1)損益分岐点分析図表を描く

◆軸線を描く
図表は横軸に売上高をとり、縦軸に売上高・費用を取ります。それぞれのスケールは左から右に行けば横軸は大きく、縦軸は下から上に行けば大きくなる2軸を設定します。

◆固定費線を描く
現在の固定費額を計算し、この額に相当する縦軸の目盛から横軸と並行に固定費線を引きます。固定費は売上の増減と関係なく、一定の費用が発生する金額ですので横軸に並行な線で記述されることになります。
数学の得意な方はy=aで表しますとaが固定費額を表します。(縦軸:y、横軸:xとする)

◆変動費線を描く
変動費は売上高の増減に比例して発生する費用でした。縦軸の固定費額の目盛を起点として、固定費線に上乗せして比例する変動費線を引きます。
数式で表せば、y=bx+aです。aは固定費額、bは売上高に対する変動費額の比率(=変動費率)です。変動費はbxで表されます。
この変動費線は固定費線に上乗せして書いてますので、固定費と変動費が加算された合計の線ともなりますので、総費用線と言われます。売上を上げる企業活動に必要な全ての費用を表しています。

◆売上高基線を描く
売上高基線は売上高の線です。縦軸、横軸ともに売上高が軸線ですので45度の斜線が売上高基線になります。
数式で表せば、y=xの線です。
以上で図表が完成しましたので、損益分岐点分析をしましょう。

(2)損益分岐点分析を行う

◆損益分岐点を捉える
総費用線と売上高基線の交点を損益分岐点、BEP(=Break Even Point)と言います。将に損益の分岐点を表す交点でBEPの売上高は総費用と一致する売上高ですので、このBEPの売上高を超えると利益が生じ、BEP売上高以下であると損失が発生する利益ゼロの売上高です。
この図で利益(=P)を求めようとすれば、売上高基線から総費用線を差し引けばよいわけですから、売上高線y=xと総費用線y=bx+aからP=(1-b)x-aで表されます。
このときの売上高を算出するには、売上高をあらわすxの式に置き換えてx=(P+a)/(1-b)となります。

◆目標利益売上高を算出する
例として、現在、売上高:100億円、変動費(=売上原価):50億円、固定費(=販売費):45億、利益:5億円の事業を採り上げましょう。
変動比率(=b)は変動比率=(50億円/100億円)=0.5です。

ここからが課題です。

課題:「投資として人を採用し、かつ設備を購入しました。固定費(=a)としての人件費と減価償却費が10億円UPになりました。利益は今までどおり5億円確保したい。このときの確保すべき売上高はいくらですか?」

解答は目標売上高であるx=(P+a)/(1-b)=(利益+固定費)/(1-変動比率)=(5+55)/(1-0.5)=120億円
となります。

以上、みてきましたように、損益分岐点分析は経営投資によって生じる現状に対する固定費と変動費の増分を捉えることが出来れば、経営上重要な利益目標に対する売上高や損益分岐点売上高を容易に算出すことが出来ることになります。
この理由から、投資の収支分析にもっとも活用されるメソドロジーとなっているわけです。

第33回はここで終了します。今回は損益分岐点分析で、投資による固定費変動時の目標売上高の分析を行いました。
次回は、投資分析において、もう一つの柱である「キャッシュフロー分析」を取り上げます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする