キャッシュフロー分析-1

 前回は投資分析の中の収益分析であるメソドロジー「損益分岐点分析」を取り上げました。今回は、もうひとつの投資分析メソドロジーである「キャッシュフロー分析」を取り上げます。
 
 “勘定合って銭足らず”という「ことわざ」をご存知でしょうか? このことわざはキャッシュフローの重要性をあらわしています。
 勘定とはP/L(Profit&Loss:損益計算書)でいう売上や利益のことで、銭とはキャッシュ(現金)のことをあらわしています。

 高度成長期に黒字を計上している企業の倒産が相次いだとき、キャッシュフローマネジメントのまずさにより黒字倒産する企業を表すことわざとして使用されました。

(1)資金繰りの重要性
 商取引において、支払手形の支払い時に当座預金に預金残がなく支払えなくなると「不渡り」と言う状態になり、企業は倒産せざるを得なくなります。
 お金が支払えない企業には債権者が押しかけて、あらゆる資産を借金の片に差し押さえてしまうから営業活動が出来なくなるからです。

 したがって、企業経営においては商取引や投資に必要な現金を常に確保していくことが求められることが必要となります。

 そのためには入金/出金の額と時期およびその残高(=有高)を常に管理する資金繰り計画が必要となってきます。これを資金繰り計画といいます。

 資金繰り計画には次期1年の月度別の資金繰りを計画する「短期資金計画」と中期事業目標に対して年度別の資金収支を捉える「中期資金計画」があります。

 短期資金計画のメソドロジーには「3部制資金繰り法」があり、中期資金計画には「正味運転資金による資金繰り法」があります。
 まず、短期資金計画のメソドロジーである「3部制資金繰り法」を取り上げましょう。

(2)3部制資金繰り法による短期資金計画
 この手法の考え方はキャッシュの運用の性質により3つに区分し、資金繰りを整理することからこの呼び名があります。その3区分とは「経常収支」、「設備投資等の収支」そして「財務関係の収支」の区分です。

 ◆「経常収支」
  この区分は企業の営業活動により発生する収益や費用の現金収支をまとめます。
  収入には売上によって発生する売掛金回収、受取手形入金などがありますし、
  支出には仕入れの支払い代金としての買掛金支払や給料等の販売費支払などがあります。

  これらの収支をその時点で月度別に集計し、月度別の現金収支の過不足を表して経常収支の資金繰り表を作成します。

 ◆「設備投資等の収支」
  この区分は建物、機会、備品などの固定資産の購入や売却による現金の収支をまとめます。
  支出は投資による固定資産の購入に対して支出される現金が対象です。
  収入は不要になった固定資産の売却による現金収入が対象です。

  経常収支区分と同様に現金収支の時点で月度別に集計し、月度別の現金収支の過不足を表して設備投資等の資金繰り表を作成します。

  経常収支と設備投資等の収支区分での資金は企業活動を遂行する上において通常に必要になる現金の収支です。すなわち、不渡りにならないために、この現金過不足を調整する現金(資金)の調達活動は必須事項となります。
  この現金の調達するための現金収支の資金繰りが「財務関係の収支」の資金繰り表です。

 ◆「財務関係の収支」
  この区分は借入金や貸付金などによる現金の収支をまとめます。
  収入は銀行からの借入金や関係会社へ貸していた貸付金返却などによる現金の入金が対象です。支出は借入金返却や貸付金などによる現金の出金が対象です。
  この収支は経常収支と設備投資等の収支における現金の過不足を補填や調整するために作成される資金繰り表となります。

 以上の3区分の月度別の資金繰り表を作成することで短期資金計画表が完成します。

第35回はここで終了します。今回はキャッシュフロー分析での短期資金計画を取り上げました。

 次回は、キャッシュフロー分析での中期資金計画を「キャッシュフロー分析-2」で取り上げます。

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