キャッシュフロー分析-3

前回までの2回はキャッシュフロー分析で 資金繰りに関して述べてきました。キャッシュの重要性はお分かりになったと思います。
 ここではキャッシュフローのもうひとつのテーマを取り上げようと思います。

 キャッシュはより多く、より早く回収することができると流動比率が高まりますので企業はより健全な経営が出来ることになります。このキャッシュの回収に焦点を当てた投資効果測定法がDCF法なのです。

 今回は、キャッシュフロー分析での固定資産投資に対する投資効果の算定であるDCF法(Discount Cash Flow:ディスカウントキャッシュフロー)を取り上げます。

 キャッシュフロー分析での固定資産投資に対する投資効果の算定であるDCF法を取り上げます。
 DCF法は現在価値法と言われ、設備投資の投資効果判定のために現在最も多く使用されている算定法です。
 この算定法の考え方は将来の投資効果を現在の価値に換算して投資対効果を算定することから、この呼称があります。
 それでは現在価値の考え方を例を引いて話を進めようと思います。

(1)現在価値
 A企業で5億円の固定資産への投資をし、3年後に10億円の現金回収を見込んだ事業戦略を考えました。この企業は現在、売上高利益率10%の事業を営んでいるとします。
  「この効果10億円の現在価値はいくらが妥当でしょうか?」が問題です。

 この企業は売上高利益率が10%ですから、現在の事業で元手の資金を年間10%ずつ増大させる事業力があると判定します。
  としますと、現在5億円を投資すると1年後5.5億円に出来るわけですから、1年後の5.5億円の現在価値は5億円と捉えられます。
  数式で表しますと、5.5億円/(1+0.1)=5億円となります。同様に、n年後の投資効果は(1+0.1)nとして算定できることになります。
  問題に戻って、3年後の現金10億円の現在価値は10億円/(1+0.1)3≒7.5億円 となります。
  それでは、DCF法を用いて、投資効果を算定してみましょう。

 (2)投資効果の算定
  課題を下記で想定しましょう。
  ・n期の期初に100億円の設備投資をしました。
  ・減価償却費は定額法で3年償却。すなわち、3年目まで毎年30億円の減価償却費が発生します。
  ・税引き後利益の予測はn期、n+1期、n+2期、それぞれ-18億円、13億円、37億円です。
  ・現在の売上高利益率は10%です。
   「現在のn期からの3年間の投資効果を算定してください」が課題です。

 ◆キャッシュフローの計算
 まず、現金の収支であるキャッシュフローを計算します。この計算は税引き後利益に減価償却費を加えることで計算します。なぜなら、税引き後利益はキャッシュの支出のない減価償却費を差し引いて計算されています。利益の計算はそれで良いのですが、キャッシュの収支としては減価償却費は現金の支出はされていないのですから差し引いてはいけません。
 
 そうしますと、n期、n+1期、n+2期の期末キャッシュフローは減価償却費の30億円を加算して12億円、43億円、67億円となります。

 ◆投資効果の現在価値の算出
 現在価値は売上高利益率が10%ですので、(1+0.1)nで除して求められますので、n期、n+1期、n+2期の期末キャッシュフローの現在価値はそれぞれ(1+0.1),(1+0.1)2,(1+0.1)3で除して11億円、36  億円、50億円となります。

 ◆投資対効果を算出
 初期投資が100億円ですから、n期からの3年間の投資対効果は投資対効果=-100億円+11億円+36億円+50億円=-3億円となります。
 
 すなわち、この投資は-3億円のキャッシュ持ち出しの事業と判定できます。

 DCF法は現在の投資金額を現在のキャッシュ価値に変換して効果を判定しますから、早期にキャッシュの回収の出来る投資案が有利になることご理解いただけると思います。

 第36回はここで終了します。今回で経営戦略に関するテーマは完了とします。
 次回からは、情報戦略のテーマに移ります。最初のテーマは企業戦略の観点から「情報戦略とは」を取り上げます。

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