情報戦略策定の基本原則-その1

前回は「情報戦略策定プロセス」と題して、情報戦略を作成するための策定プロセスを取り上げました。今回はこのプロセスを進めるに当たって基盤となる考え方である情報戦略策定における基本原則を取り上げます。
 
前回の「情報戦略策定プロセス」で取り上げました情報戦略の位置づけの整理から進めましょう。情報戦略の策定は経営戦略にもとづいて実施されるものでした。もっと正確に言いますと、経営戦略を経営計画に展開した経営施策の1つである情報化施策がスタートになります。
経営計画のもとに実施される施策ですので、「予算」は決められていますし、経営戦略を実践する上において必要となる「情報」、「必要時期」も設定されています。
この前提の下に情報戦略は策定されました。

それでは、この情報戦略の策定の考え方としての基本原則は何を考慮すべきかについて考えて見ましょう。

まず、最初の考慮点として上がりますのは、「整合性の原則」です。

◆「整合性の原則」
 情報システム化は経営戦略を成功させるためのひとつの手段ですから、経営計画の施策目標、予算、範囲に沿ったシステムを構築することが必要になります。

情報戦略で改めてその範囲や目標、予算を際設定するのではなく、経営計画に沿った施策を策定すべきです。

そのための1つの要件として、経営戦略を策定した責任者が引き続いてこの情報戦略を策定する継続性も必要でしょう。

◆「範囲の適切性の原則」
 情報システム化はビジネスプロセスを対象とします。経営戦略はビジネスプロセスを通して実行されます。経営戦略が情報システムに求めるものは「経営判断に有効な情報が適時に提供される」ことにあります。この環境を提供するのにビジネスプロセスのどの範囲をシステム化することで達成できるのかがここのテーマです。

留意すべきは要求以上のシステムを作るのではなく、常に要求に合った情報システム化であり、対象のビジネスプロセスをカバーすることです。予算内でこの環境を整備することは基本命題であるからです。

◆「実現性の原則」
 情報システムを構築するにはそのシステムを計画通りに構築できる能力と体力が必要です。この能力でもっとも必要とされるスキルにはプロジェクトマネジメント能力と標準化能力です。標準化能力とは情報システムを稼動するまでに要求されるコミュニケーションを有効にする文書化と周知徹底です。たとえば、システムの仕様書、問題管理シート、オペレーション仕様書、教育・伝達の標準的なしくみです。

体力とはシステム化を推進する体力と本番稼動後のシステム運用の体力です。自社の成熟度をあまり考慮せずに、高度なシステム化を構築して、動かないコンピュータを作り上げた例は多々あります。自社のIT成熟度を見極めて、IT成熟度の育成とともに同期してシステム構築を進めていくことが必要です。

3段階にシステム構築をフェージング(3フェーズ計画)して段階的に着実に構築していくことも体力とシステム化を見極めるのにとられるが手法です。

◆「費用対効果の原則」
 情報システム構築は経営計画のひとつですから、経営収支予算としての投資予算と運用コストが設定されています。投資予算とはシステムを構築するまでに一時費用として購入するH/WおよびS/W費用、開発の外注費用などがあります。

運用コストはランニングコストとも言われ、システム構築後のシステムを運用・維持していく費用です。一時費用として購入した固定資産の減価償却、運用施設や運用要員費、外注費用などが対象になります。
情報システムは経営計画で設定された一時費用と運用コスト予算以内で策定されることが必要です。

第40回はここで終了します。今回は情報戦略を策定するための基本的な考え方の前段である「情報戦略策定の基本原則―その1」を取り上げました。

次回は、その考え方の後段である「情報戦略策定の基本原則-その2」を取り上げます。

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