ITガバナンス-その1

前回までの2回は「情報戦略策定の基本原則」と題して、情報戦略を作成するための考え方を取り上げました。今回からは経営戦略に基づいて構築された情報システムとするためのIT化および、その運用を効果的に管理するITガバナンスをテーマに取り上げます。
 
今回はITガバナンスの紹介としてその背景から取り上げようと思います。
ITガバナンスの定義は平成11年3月に通産省ガイドに出されていますので引用しましょう。
そこには「企業が競争優位性構築を目的にIT(情報技術)戦略の策定・実行をコントロールし、あるべき方向へ導く組織能力」と定義されています。
この定義文を良く見ると、その中には3つのキーワードが含まれています。
「企業が競争優位性構築」、「IT(情報技術)戦略の策定・実行をコントロール」、「あるべき方へ導く組織能力」というキーワードです。これらの意味から解説していきましょう。

◆「企業が競争優位性構築」
 競争優位性構築とは同業他社に対するビジネス上の競争優位を言っています。(このメルマガの読者は第21回、22回でのSWOT分析を参照または思い出されると良いと思います。)
競争優位に立つためには内外環境からCSF(重要成功要因)を創出し、そのCSFを支えるコアコンピタンスを定義し、強化することで事業としての競争優位性を作ることでした。
すなわちこのキーワードは経営戦略の目的を述べているわけで、経営戦略が前提であると言っているわけです。

◆「IT(情報技術)戦略の策定・実行をコントロール」
 このキーワードは情報システム化のための計画の策定とその実行である、調達、開発、運用を管理することを言っています。
この2つのキーワードで、この情報システムは「経営戦略に沿った情報システムの構築・運用を管理すること」を言っていることが分ります。

◆「あるべき方へ導く組織能力」
 このキーワードは情報化の目標を定めた時に、その目標を達成できる組織の力、すなわちITに関する成熟度の備わった組織力を言っています。

 3つのキーワードをまとめますと「経営戦略に沿った情報システムを構築し・運用できる管理のプロセスを構築する」ことが、ITガバナンスということです。今までの情報化は業務効率を高めるための情報化が前提にあり経営の1つの道具として適用されてきました。
 すなわち、伝票処理や報告書の作成や伝達を早くする情報処理効率化のためのプロジェクトでした。
 これを経営活動用より効果的にするためには、情報化は経営戦略に基づいて、プロジェクトとして開発が完了した後も、常に経営活動の一環として経営活動の質を高める経営のしくみとする必要があるとしたところにその違いがあります。
 さて、ITガバナンスの意味を述べてきましたが、ITガバナンスはIT化および運用の管理でした。管理するには「その対象」が必要ですし、この対象を「どんなプロセス」で管理するか、そして、その管理の「目標」は何かが明確になる必要があります。
 COBITによりますと、ITガバナンスではその対象を「5つのIT資源」定義し、プロセスを「4つの管理プロセス」、情報化の目標を「情報化規準」として定義しています。
(注記)COBIT(Control OBjectives for Information and related Technology)
 米国の情報システムコントロール協会(ISACA)が提唱するITガバナンスの成熟度を測るフレームワーク。COBITでは、IT戦略立案から導入・運用までの一連の流れを「プロセス」「IT資源」「情報基準」という3つの視点から評価する。

第42回はここで終了します。今回はITガバナンスの意味を取り上げました。
次回は、ITガバナンスを構成している3つの要素である「5つのIT資源」、「4つの管理プロセス」、「情報化規準」を取り上げます。

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