モニタリング-その4

前回はモニタリングの指標、目標を設定するときの考え方として、モニタリング基本原則の前段を取り上げました。
 今回は、「モニタリング-その4」でモニタリング指標の考え方の後段を取り上げます。

 ◆「実現性の原則」
 この原則はモニタリング目標は実現可能な目標でなければならないという考え方を示しています。
 たとえば、世界の天才経営者の一人であるGEのジャックウェルチは18年間の社長在籍で売上高を5倍にしました。よく私たちは事業計画を作成するときに、“3年で売上高を2倍にしよう”と目標を設定しますが、既存のビジネスドメインでこの目標を達成することが並大抵のことではないことがジャックウェルチの実績を見てお分かりになると思います。
 既存のビジネスドメインでの戦略には企業内の組織の成熟度が目標達成に大きく影響を及ぼします。
 “自社の組織成熟度を見て経営目標を設定し、継続的に改善しています。”とはキャノンの御手洗社長の言葉です。

 ◆「期間の適切性の原則」
 モニタリングの期間の設定は適切な期間にする必要があることを示しています。
 モニタリングする対象によりますが、事業計画の売上目標のモニタリングは週1回や月1回のチェックでしょうが、各営業要員の受注目標のモニタリングは毎日で実施されるでしょう。プロジェクトでのテスト進捗のモニタリングは随時実施されますが、予算の実績差異のチェックは週単位が適切となります。モニタリングの項目や対象によって適切な管理サイクルを設定することが必要であると述べています。

 ◆「責任明確化の原則」
 モニタリングは企業全体の経営活動のチェック活動ですので、その実施は全組織に跨ることになります。 
 したがって、モニタリングの上位目標、その目標に沿った下位目標はそれぞれの組織の責任者が業務活動目標として掲げ、その実績との差異を追跡できることが必要になります。
 経営目標という同一ベクトルのもとに、各組織の責任者はそれぞれのモニタリング目標を持ち、各自の責任で実践できるように明確に任命することが必要になるというわけです。

 ◆「周知の原則」
 モニタリング目標を各組織の責任者に割り当て、実践するにしてもその目標をなぜ実践するか分らないとその意欲に違いが出て、効果的な実践が出来ない場合が多々あります。
 面白いたとえ話があります。ローマの宮殿を建てる石切職人の話があります。
 ある石切職人に“何をしているのですか?”と聞いたら、“石を切っているのです”と答えました。
 一方の石切職人に同じ質問をすると、その職人は“ローマの宮殿を建てているのです”と答えたそうです。後者の職人の作業精度と生産性は群を抜いていたそうです。
 すなわち、KPIを業務目標とするとき、最終目標である経営目標としてのKGIにそのKPIが如何に関係しているかを明確に伝える必要があるということです。

 ◆「成果測定性の原則」
 モニタリングするには客観的に測定できる指標が必要になります。すなわち、KGIやKPIは“客観的に測定できるものでなくてはならない”ということを言っています。
 例として、顧客満足度を取り上げてみましょう。顧客にアンケートを配って満足度評価を提出してもらうことにしました。
 “評価点の記入(測定)は出来ますが、客観的でしょうか?” アンケートに記入する顧客は担当の営業さん、SEさん、あるいはその管理者の顔が浮かび、アンケート記入の評点に主観が入りこむ余地が多々出てきます。
 とすれば、この指標は顧客満足度向上の結果としての「顧客数の増大」や「受注数量の増大」と捉えた方がより客観的で、測定もシステムに組み込めて随時把握できることになります。
 すなわち、測定が困難なKGI、KPIは測定可能な代替指標に置き換えることが必要になります。

 ◆「再評価の原則」
 経営計画や業務遂行計画の中でこの指標を設定することになりますが、ビジネス状況は常に変化しますので、その状況に対応して、KGI、KPIを再評価して修正や改善が必要となってきます。

 ◆「参画の原則」
 モニタリングは経営目標に関わる管理のしくみであることはお分かりになったと思います。
 このようなKGI、KPIを作成する責任者はCSO(Chief Strategic Officer:経営戦略策定責任者)と呼ばれる経営トップが十分に参画して作成し、経営目標が一人歩きしないように経営を実践することが必要です。
 なぜなら、これらのKGI、KPIは経営戦略の指標化ですので、この指標に基づいて経営活動が評価されることになるからです。

第49回はここで終了します。モニタリング指標の考え方の後段を取り上げました。
次回は、「モニタリング-その5」でモニタリング指標の作り方を取り上げます。

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