ジェネリックモデル-1

今回からはこの情報戦略の考え方を生かして情報システムを設計するまでに必要な主要なメソドロジー(=手法)を取り上げます。
 そのメドドロジーの初回として、経営活動を情報の観点で捉えて情報システム化を分析していく考え方であるジェネリックモデルを取り上げます。

 経営戦略のメソドロジーの一つに事業戦略のビジネスモデルの有効性を検証するための「インフルエンスダイアグラム」というメソドロジーがありました。このメソドロジーは事業価値を高める顧客や仕入先などに対する対外的な施策が事業価値を生み出すプロセスを検証するものでした。

 これに対し、情報戦略はこの事業価値のプロセスをビジネスプロセス(=業務プロセス)に焦点を当てる作業になります。
 すなわち、対外的な経営戦略に対応して、社内のビジネスプロセスである「受注」→「発注」・「製造」→「出荷」→「請求」→「入金」といった業務が情報化によって事業価値を高める対外的な要求に対応できることを求めているわけです。

 ジェネリックモデルはこの対内的なプロセスを情報化作業に変換していく基礎的な考え方を提供します。
 ビジネスモデルの事業価値を検証するメソドロジーが「インフルエンスダイアグラム」であったのに対し、ビジネスプロセスモデルを情報システム化するメソドロジーとして「ジェネリックモデル」があると捉えれば良いでしょう。

 ジェネリックモデルは企業システム構築の設計要件を4つのモデルで捉えています。
 そのモデルは「情報システムモデル」、「ビジネスプロセスモデル」、「情報モデル」、「データモデル」です。

 ◆情報システムモデル:企業活動情報を情報の機能グループでまとめ、その情報機能の体系をつけたモデルで、企業情報システムの設計の情報機能の体系を表し、継続の3つのモデルの基礎設計モデルとなります。

 ◆ビジネスプロセスモデル:業務プロセス(=ビジネスプロセス)を情報の観点で捉え、情報システム設計への橋渡しをする設計モデルで、情報システムモデルの情報機能を下にビジネスプロセスに展開されます。

 ◆情報モデル:ビジネスプロセスの情報を体系化した情報連携モデルで、データベース設計の基礎モデルでデータベースのデータ属性(=データ項目)とデータベース間の情報関係を表現したモデルとなっています。

 ◆データモデル:情報モデルのデータ属性とトランザクション(=伝票など)との処理関係を表現したモデルでビジネスプロセスと情報モデルから情報処理の体系化をしたモデルです。EEM(Entity Event Matrix)として発展し、整理されています。

 経営戦略にもとづいた企業システムの設計はジェネリックモデルとしての4つのモデルを順次設計することで情報システムへの変換が可能になります。最初が「情報システムモデル」です。

 (1)情報システムモデル
 このモデルは経営活動情報を「計画/モニタリング情報モデル」、「コアビジネス情報モデル」、「資源情報モデル」、「知識情報モデル」の4つの情報機能として体系化しています。
 このモデルの概略は第45回で取り上げましたので、整理とそれらのモデルの関係を記述しておきます。

 ◆「計画/モニタリング情報モデル」:計画情報とは経営計画目標を指します。
売上高、原価や利益目標といった経営目標と品質、納期、リードタイム、スキル等の業務遂行の目標を合わせたビジネス目標、そして情報化目標などがこの計画目標になります。
 この情報はひと、もの、かねの「資源情報」と「モニタリング」からの実績情報、業界情報や改善情報などの「知識情報」をもとに設定されます。
モニタリング情報とは計画に対する実績と差異の情報です。
すなわち、計画情報とモニタリング情報は一体として情報を管理することが必要です。
 このモデルは企業情報の全てのモデルと関係を持つことになります。
したがって、経営戦略に基づいたシステムの構築は「計画/モニタリング情報」を管理するシステムから設計しなければならないということになります。
 
第52回はここで終了します。経営施策から情報システム化するための基礎の考え方である「ジェネリックモデル」の情報システムモデルの前段を取り上げました。
 次回は、「ジェネリックモデル-2」として情報システムモデルの後段を取り上げます。

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