ビジネスプロセスモデル-1

 今回は業務プロセス(=ビジネスプロセス)分析の基本モデルである「ビジネスプロセスモデル」を取り上げます。

 ビジネスプロセスとは業務プロセスのことをいいます、IT化の対象としての実態です。IT化されたシステムはこのプロセスの分析の良し悪しが影響することになります。ビジネスプロセスモデルはこの良し悪しをより小さくするための参照モデルです。以前、“業務プロセスのIT化は業務機能を情報の変換作業と捉えること”と申し上げました。

 その意味を「発注業務」を例にとって少し詳しく考えて見ましょう。

 (1)情報変換作業としての発注処理
 発注処理は受注伝票の中で、在庫不足で在庫引当ができない商品の受注情報が入力情報として取り込まれます。発注処理は適切な仕入先へ必要商品の必要分を発注伝票に記載して発行することです。
 
 この受注情報から発注情報への変換作業をするために、発注処理では
 ◆受注処理から発注商品と数量を受け取ります。
 ◆商品をもとに、仕入先マスターを見て発注先を決定し、発注伝票に発注商品と数量に加え、発注部門当の発注先情報を記載します。
 ◆発注した商品は“発注済み”として在庫ファイルへその数量と納期を反映します。
 
 以上の処理をまとめますと、

 「受注トランザクションを仕入先マスターや在庫ファイルの情報をもとに、必要情報を追加、加工して発注トランザクションや在庫更新トランザクションに変換するプロセス」ということができます。

 この考え方は情報システムを設計する上で重要な役割を果たします。
 顧客の業務プロセスを分析するのに情報の変換箇所が業務という捉え方をするわけですから、業務の機能を詳細に知っている必要はありません。
 
 上記の例で言えば、発注処理の機能は

 ◆受注情報から発注情報へ変換すること
 ◆発注情報から在庫更新情報へ変換すること
 以上の2つの変換作業と考えるわけです。新人のSEにもすぐ業務分析が出来そうです。

 このモデルのポイントは、オブジェクト(=実態)間の入出力の情報の流れ(=データフロー)であるトランザクションデータに焦点を当てます。
 前述の例で言えば、
 オブジェクトとは受注処理、出力先としての発注先、参照する仕入先マスターや在庫ファイルなどトランザクション処理の対象となる実態が該当します。
 
 それでは、このビジネスプロセスモデルを如何に構造化したら良いかのテーマに移りましょう。

 (2)ビジネスプロセスモデルの構造化
 オブジェクト間のデータフローのあるビジネスプロセスを捉えるとすると、その対象の捉え方で業務プロセスには総括的記述の上位プロセスや詳細な業務手順と相手の下位プロセスのように業務プロセスの階層がでてきます。
 たとえば、最上位のレベルは企業システムでしょう。企業を業務機能として捉えますと、外部のオブジェクトである顧客からの受注伝票をもとに別の外部オブジェクトである仕入先への発注書の発行と顧客オブジェクトへの納品/請求書の発行が代表的なオブジェクト間に存在する業務プロセスのデータフローです。
 
 この「入り」と「出」のデータフローンを捉えれば、企業システムの最上位の機能が定義できています。
 下位階層に展開しますと、業務処理のオブジェクトとして、受注機能の「受注受付」があります。

 外部オブジェクトである顧客からの受注伝票を受けて、
 
 ◆注文伝票記述にミスがある場合の注文エラーの発行へのトランザクションデータの変換
 ◆顧客マスターにある信用限度や仕切値の取り込みのトランザクションデータへの変換
 ◆在庫ファイルオブジェクトへの商品引当の数量などへのトランザクションデータの変換

 の機能が定義されてきます。
 以上のように、ビジネスプロセスモデルはいろんなレベル階層の業務機能を定義できます。

 そうであれば、その活用はシステム化の観点で捉えると要件定義からプログラム機能定義まで広範囲にわたってありそうです。
 このモデルを有効に活用するにはこのプロセスの階層を整理することが必要になります。

第54回はここで終了します。業務プロセス分析の基本の考え方である「ビジネスプロセスモデル」を取り上げました。
次回は、「ビジネスプロセスモデル-2」として“業務プロセスの階層化”を取り上げます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする