WBS-その1

 前回はPMBOKの計画プロセスを取り上げました。今回から、PMBOKを引用してその
 計画プロセスで重要といわれるプロジェクトマネジメントの主要メソドロジーを3つ
 取り上げようと思います。まず最初に、そのメソドロジーの1つである「WBS(=Work 
 Breakdown Structure)」を取り上げます。

 WBSは言葉のごとく、本来は“作業の展開”を意味するのですが、PMBOKでは
 WBSをもう1つの“機能の展開”の手法としても紹介しています。
 すなわち、PMBOKでは作業のWBSと機能のWBSの活用法が定義されていま
 す。
 いずれにしても、WBSは細分化の手法ですから、適切な応用が可能となります。
 PMBOKの9つの知識エリアで言えば、機能WBSは「プロジェクトスコープマネ
 ジメント」に属し、作業WBSは「プロジェクトタイムマネジメント」に属した手法
 として位置づけられています。
 それぞれのWBSの意味と役割について、まず整理しておこうと思います。

 (1)機能WBSの意味
  この手法は「プロジェクトスコープマネジメント」の知識エリアで使用されると申
  し上げました。
  この知識エリアでは、まずプロジェクトの目的と範囲を決めなければなりません。
  機能WBSはこのプロジェクトの範囲を定義するために使用されます。
  すなわち、プロジェクトをサブプロジェクトに分解し、そのサブプロジェクトを
  主要機能へ分解し、さらにサブ機能へと細分化し、今回のプロジェクトの対象機能
  抑えることで、プロジェクトの範囲を捉えることが出来ます。
  例を、サプライチェーンシステムを構築するプロジェクトとしましょう。
  サプライチェーンシステムですから、主要機能は「販売システム」、「生産システ
  ム」、「物流システム」等が主要なサブシステムとしてあります。
  この主要機能である「販売システム」をサブサブシステムの機能に展開しますと、
  「受注機能」、「在庫機能」、「出荷機能」などに展開できますし、「受注機能」
  はさらに「受注入力処理」、「在庫引当処理」、「発注依頼処理」等の機能へと
  展開できます。
  この業務機能の展開は今回のサプライチェーンシステムで適用する機能を選定する
  ことで、当該システムの範囲を定義できることになります。
  この展開された機能に成果物を対応させて定義することで、より精度の高い範囲と
  機能目標を設定することが出来ます。

 (2)機能WBSの役割
  機能WBSはこのように対象システムの範囲を定義することに使用しますので、
  プロジェクトマネジャーの観点から見ますと、プロジェクトを始める前に“その
  機能範囲の定義漏れ”を未然に防ぐ効果があります。
  お分かりのように、目的のシステムを階層型に展開していき分り易い機能構造図と
  なりますのでプロジェクトマネジャーに限らず、プロジェクトメンバーや顧客から
  のレビューを受けることも容易になり、“機能範囲の定義漏れ”が最小化できる
  ことになります。
  機能WBSについてお話しましたが、もう一方の作業WBSにも同様な効果があり
  ます。
  作業WBSはPMBOKの知識エリアで言えば、プロジェクトスケジュールを作成
  する「プロジェクトタイムマネジメント」に属します。

 第67回はここで終了します。PMBOKの「プロジェクトスコープマネジメント」
 の知識エリアの手法である“機能WBS”を取り上げました。
 次回は、「プロジェクトタイムマネジメント」の知識エリアの手法である“作業WB
 S”を取り上げます。

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