前回は「プロジェクトタイムマネジメント」の知識エリアの手法である“作業WB
S”を取り上げました。今回からは、同じ「プロジェクトタイムマネジメント」の
知識エリアの手法である“PERT/CPM(Project Evaluation Review
Technique/Critical Path Method)”を採りあげます。
プロジェクトのスケジュールは作業WBSで作成したCA(=Cost Accou
nt)のアクティビティやタスク(=日本語訳は作業です。これ以降の表現では作業と
いう言葉に置き換えます)を利用して作成します。スケジュールを作成するのですか
ら、作業の前後関係を把握することが必要になります。
このような作業の前後関係を把握する手法としてネットワークロジック図がPMBO
Kでは紹介されています。
ネットワークロジック図は作業の前後関係、言い換えれば従属関係を把握して作業の
順序付けをしスケジュール化する表記法で、表記の違いからPDM法(=Presi
dence Diagram Method)とADM法(=Arrow Diag
ram Method)の2手法があります。
PERT/CPMはADM法の表記法を採用した手法です。順番に話を進めていきま
しょう。
◆PDM法は
作業記述ボックスを作り、そのボックスに「作業名」を付け、「開始日」、「工数
(期間)」、「完了日」を記述します。この作業ボックスの従属関係を矢印で関係
付けて作業ネットワーク図を作成します。
例として、作業として外部設計局面にある「業務フロー図作成」、「入力仕様書
作成」、「データベース仕様作成」という3種類の作業を取り上げてみましょう。
「入力仕様書作成」、「データベース仕様作成」の作業は「業務フロー図作成」の
成果物を前提として作成されますので、従属関係ができます。「業務フロー図
作成」を“11月1日”に開始し、“5人日”の工数を要するとしますと、
「業務フロー図作成」のボックスには業務名“業務フロー図作成”、開始日は
“11月1日”、工数は“5人日”、完了日“11月6日”が記載された作業ボッ
クスが出来上がります。
後続の「入力仕様書作成」、「データベース仕様作成」の作業ボックスは並行作業
で出来ますので開始日が“11月7日”とした作業ボックスが作成されます。並行
作業が出来るとすれば「業務フロー作成」ボックスから各ボックスへの方向へ2つ
の矢印→で前後付けた連携したネットワーク図が出来上がることになります。
◆ADM法とは
PDMの表記とは違って、作業の開始と終了をイベント(=事象)という記号(通
常、円の中に開始日や完了日を書ける)を設け、その間をアクティビティ(=活
動)と言われる矢印“→”で結びます。イベントには開始日や完了日を記入し、ア
クティビティには作業名と作業工数を記述します。
PDM法で採りあげた例を比較として用いますと、「業務フロー図作成」の開始
イベントには“11月1日”が記載され、アクティビティには作業名の“業務フロ
ー図作成”と工数の“5人日”が記述され、完了イベントには“11月6日”が
記述されることになります。
表記法は異なりますが、ダイアグラムで意図するところは同じであることがお分か
りになると思います。
お分かりの方もいらっしゃると思いますが、PDM法はコンピュータ用のパッケージ
に作り込みやすい記述法です。そのために開発されたと言っても良いかもしれませ
ん。
第69回はここで終了します。「プロジェクトタイムマネジメント」の知識エリアの
手法であるネットワークロジック図の手法を整理しました。“”を取り上げました。
次回は、“PERT/CPM-その2”でその活用法を取り上げます。