75回で紹介させていただきましたが、74回まで配信しました経営戦略と情報戦略
の知識を用いてITベンダーのITコンサルとして戦略策定を指導するプロセスを構築
のHowToを中心にしたストーリーとして組み立てていきます。私の立場は悩みと工夫の
ITコンサルタントです。
ある中堅のITベンダーから“大阪事業部の改革をして儲かる事業構造に したいので、指導いただけませんか”という話がありました。
お客様に伺うのは10日後だったのですが、事前にお客様状況の把握が必要です。
上場はしていないようですので、企業内容をインターネットで調べました。
企業プロファイルの「基本情報」はつぎのようなものでした。
◆創業:1990年5月1日
◆資本金:3億円
◆企業関係:外資系コンピュータメーカの有力販売店、中堅企業向ERPメーカの販売店
◆事業分野:
・パソコン&サーバー、ネットワーク商品の販売と導入サービス
・ハードウエア保守サービスおよび技術相談窓口サービス
・業務システム開発・導入サービス
◆売上高 : 70億円(今期予想) 前期対成長率 ほとんどなし
・営業利益 : 1.2億円(今期予想)
・利益剰余金累積 : 6.0億円(今期末予想)
・従業員 : 正社員 145名
・拠点 : 東京(本社)、大阪事業部
・主要取引先 : 大手メーカー(電気、農機具など)および中小製造業
◆組織(大阪事業部以外は全てロケーションは東京)
・事業部:大阪事業部(24名)、東京第1事業部(大手顧客担当:25名)、
東京第2事業部(中小中堅顧客担当:20名)の営業を中心とした部隊
・システム開発事業部:ERP開発部(11名)とe-ビジネス開発部
(インターネット&グループウエア:10名)がありシステム開発を中心
とした部隊
・サービスセンター:ITインフラ設計、ハードウエア保守、ヘルプデスクサービス
部隊(全29名)
・管理部門:業務管理部、経理部、総務部等(19名)
この基本情報から、いくつかの情報が得られました。
◆売上高営業利益率(1.2億/70億→1.7%)が低い。“過当競争かな?”、
戦略商品・サービスの選択と集中は出来ているか?”、“社員の意識と会社方針と
のベクトルは合っているのか?”など
◆利益剰余金累積が6億円。企業としての投資のMAXは6億+減価償却費位見て
いて良いかな?
◆大阪事業部は顧客からの技術的対応はどうしているのか?
◆システム開発部隊、サービスセンターのサービス内容と収益率は?
◆先端の外資ITメーカと今後期待できる中堅ERPメーカは事業に如何に貢献して
いるのだろうか?
などです。
その上で、今度の顧客CALL時に顧客から収集すべき情報として、
◆過去3期の財務状況と推移
◆全社の事業内容と大阪事業部の特徴
◆大阪事業部の事業・業界環境
◆プロジェクトの目標、期限、体制、役割
を挙げて、訪問時の会話の組立を考えることにしました。
第76回はここで終了します。これからのストーリーの企業プロファイル基礎情報を
整理しました。
次回は、テーマ「プロジェクトの発足-事業の特徴」で大阪事業部の特徴に焦点を
当て、「5つの競争要因分析(ポータ)」を用いて情報収集をしましょう。