プロジェクトの発足-マーケティング環境

75回で紹介させていただきましたが、74回まで配信しました経営戦略と情報戦略
の知識を用いてITベンダーのITコンサルとして戦略策定を指導するプロセスをストー
リーとして組み立てていきます。私の立場は悩みと工夫のITコンサルタントです。
プロジェクチームの事業部長の山田氏、営業課長の中川氏、SE課長の上野氏との
対話で進めていきます。
メンバーはすべて当メルマガの愛読者の方々です。ただ、実践は初めてです。

 顧客の組織特徴と対顧客活動状況が概ね理解できたので、マーケティング環境をヒア
リングすることにしました。コンサルティングステップの始まりです。
ヒアリングのポイントは「5つの競争要因分析(ポータ)」の要因を使って行うことに
しました。
5つの要因には、「1.業者間の敵対関係」、「2.新規参入の脅威」、「3.代替品・サー
ビスの脅威」、「4.買い手の交渉力」、「5.売り手の支配力」の切り口でした。順番
に聞いて見ましょう。

私 :御社の業界の競争は厳しい環境と思われますが、いかがですか?(1)
山田氏:ええ、競争が激しい業界の1つだと思います。
私 :そうですか、御社はハードウエア、ソフトウエアともに取扱っておられます
が、それぞれどんな競争相手にあるのですか?
山田氏:そうですね、ハードウエアでは大手顧客に外資のDメーカの浸透がすさまじ
く、PCは主導権をとられていますし、日本のメーカN社、F社からハードウ
エアと保守サービスの一体型で弊社より安い価格提案をします。
私 :新規にこの業界に参入してくる競合他社は多いのですか?(2)
山田氏:PC等のディスカウントストアの進出が脅威です。数量の少ない中堅・中小
顧客がずいぶん流れています。
私 :御社には顧客の参入障壁を作るような何か手を打たれていますか?(2)
山田氏:ふ~む。顧客の課長クラスとは長年の付き合いがありペネトレーションは
強いです。また、大手顧客3社には個別にSEをつけた技術相談サービスが
ありますし、顧客の受注状況を受注から納品まで検索できるWebシステム
をエクストラネットで提供しています。
私 :ある程度の参入障壁になっていますね。別の質問ですが、御社のビジネスが
なくなるような代替手段があって、お客様を失うような状況がありますか?
(3)
山田氏:最近はPCが安価になったため、保守契約を締結せずに買換えで対応する
顧客が増えています。
私 :製品でなく、サービス形態の代替ですね。ところで、御社はお客様との人的
関係はよさそうですが、ビジネス上での主導権は取れていますか?(4)
山田氏:ビジネスとなるとそう簡単ではないですよ。中堅・中小企業ではシステム
開発案件は相見積りが一般的で買い叩かれます。顧客より早い提案であれば
主導権が取れるのですが、手が回らない状況です。
     また、ハードウエア関係でのビジネスの多い大手顧客ではほとんど顧客の
主導の価格で決まってしまいます。
 私 :御社は外資メーカの有力ディ-ラですが、メーカに対する要求や要望は
かなり通りますか?(5)
 山田氏:仕切値をもっと低くしてほしいと言っているのですが、限界のようですね。
ただ、日本のメーカは弊社のサーバーやネットワーク提案だけでなく、業務
/運用ソフトを絡めた総合提案をしてきていますので、メーカの支援を依頼
しているのですが、適切な支援がなくて・・・、自社でも対応を考えている
ところです。

  以上のような次第で大阪事業所のマーケティング環境のヒアリングを終えました。
  マーケティング環境は外部環境のミクロ環境の調査です。この調査にはポータの
「5つの競争要因分析」を用いるのが最適のようです。

  企業プロファイルとマーケティング環境を把握できましたので、プロジェクト
メンバーと事業ドメインの定義に進んで行くことにしました。
メンバーは事業部長の山田氏、営業課長の中川氏、SE課長の上野氏の3名で毎週
土曜日を使って進めることにしました。
早速、営業の中川氏から“経営戦略って何のために必要なのですか?”と質問が
出ています。

第78回はここで終了します。これまでは企業プロファイルに続いてマーケティング
環境を把握しました。
 次回は、テーマ「経営戦略とは何?」で経営戦略の意味を考察していきます。

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