山田氏:さて、来週の経営会議に向けて、IT戦略企画書と整理したいのだが、
どこからはじめればよいのだろうか。
中川氏:そうですね。資料は十分出来ていると思いますのでどうまとめていくか
ですね。
上野氏:今年発表された新PGLのITCプロセスを参考にしてみたらいかがでしょ
う。
えーと、ITCプロセスではIT戦略企画書でIT化のテーマを取り上げ、
IT戦略実行計画書として、後続フェーズの実施方針を作成しています。
山田氏:来週の会議用としてはIT戦略企画書で良さそうです。順番に項目を整理
してみましょうか。
中川氏:まず、経営戦略との関係を抑える必要がありますね。
山田氏:そう、経営戦略との整合性。そのためには、IT戦略テーマに対する
「経営課題と解決テーマ」、IT化すべき領域の記述としての「IT領域
戦略課題」が必要だし、結論としての「IT戦略テーマと方針」を最初に
まとめたいね。
中川氏:なるほど、結論を先に書いて、その後に裏づけを記述すると言うこと
ですね。
そうすると、解決テーマの裏づけとして、IT環境に対する世の中の流れ
とも合致していることをサマリーしましょう。「IT動向と先進事例」辺
りでいかがでしょう。
上野氏:外的IT環境の裏づけが記述されたら、内部のIT環境ですから、先日討議
した「現行とあるべきビジネスプロセスモデルのギャップ分析」を記述
しましょう。プロセス改革のためのIT戦略の基礎データですね。
山田氏:そうすると、次期システムが見えてくる。「IT化ビジョンと次期シス
テム」を項目として時期システムイメージを記述しよう。
詳細項目は・・・
上野氏:それはCOBITの7つの基準から導いた「IT化の目的と達成目標」で
しょう。
中川氏:俺にも少し発言させてよ。システムイメージとしては、新しいIT環境を
反映した「新業務プロセスイメージ」とIT 動向を反映した「新IT環境
イメージ」が必要ですね。
山田氏:イメージでよいのかな?
私 :調達フェーズのITベンダーからの提案の選定に基づき、最終的な次期
システムが確定されますので、ここではイメージと言ってもよいで
しょう。
山田氏:ここでのイメージと言っているのは、私どもでは・・・・(案)という
感じですね。調達フェーズを通して詳細に確定されていくことになる
ということですね。
その後の項目は「IT化ビジョンと次期システム」の具体化としての「新IT
システムのプロジェクトと優先順位」、「ITシステム導入スケジュー
ル」、「推進組織体制」を記述すれば実施イメージがつかめますね。
それぞれの詳細項目は、えーと・・・
上野氏:「新ITシステムのプロジェクトと優先順位」では全社システムでいくつ
かのプロジェクトが計画されますので「プロジェクトの目的と要件の
定義」、「プロジェクトの優先順位」でしょう。「ITシステム導入スケジ
ュール」には「全体概要スケジュール」、「プロジェクト別概要スケジュ
ール」、「要員/資源調達/資金計画」の項目を記述すればよいでしょう。
中川氏:「推進組織体制」では「プロジェクト実施体制」と「プロジェクト
モニタリング体制」辺りですか。
山田氏:それでよいでしょう。最後に「投資対効果」として、「ITシステム投資
(一時費用、運用費用)」と「ITシステム効果」を記述して、IT戦略企画
書としましょう。
・・・・・・・(作業)
私 :どうやらIT戦略企画書が出来上がりましたね。
山田さんの役割はここまでの様ですが、後続のプロジェクト推進メンバ
ーへこの企画書を後続フェーズで具体的に実施するための実施方針を
まとめた「IT戦略実行計画書」まで作成することが必要です。
山田氏:そうですね。了解しました。漸く、このプロジェクトも1区切りつき
ました。ご苦労様でした。打ち上げやりましょう。
みんな:賛成!! 山田さんのおごりで。
山田氏:いいですよ。喜んでご馳走させていただきます。
第111回はここで終了します。
今回は「IT戦略企画書」として、IT戦略企画書の構成を討議しました。
今回で、山田氏、中川氏、上野氏を中心としたIT戦略策定プロジェクトは終了です。