EA出現の背景-その1

 EAの起源は1987年に当時IBM社員だったジョン・ザックマン氏が提唱したフレーム
 ワークです。ザックマンは企業の情報化戦略策定や個別システムにおける概念モデル
 として6×6のマトリクスのダイアグラムを提唱しました。システムの要件定義に
 必要な要件を整理したダイアグラムと言い換えても良いと思います。
 このマトリクス縦軸には製造過程の関与者の観点を捉えています。計画者視点として
 の「スコープ(目的・範囲)」、オーナー視点としての「エンタープライズ(ビジネ
 スモデル)」、設計者視点としての「システムモデル」、構築者視点としての「テク
 ノロジーモデル(物理技術モデル)」、構築請負者視点としての「コンポーネント
 (構成要素)」、利用者視点としての「ファンクショニング(製品、企業機能)」の
 6つの視点を縦軸に置きました。
 横軸には縦軸の製造過程の関与者の視点で必要とする5W1Hの視点である「What(デー
 タ)」、「How(機能)」、「Where(ネットワーク)」、「Who(人)」、「When
 (Time)」、「Why(モチベーショ)」の6つの要因を置いた。この6×6の要因を
 明確にすることで企業システムモデルの概念を定義しました。
 マトリクスの各要因を製造過程の関与者の視点で5W1HのWhat、How、Where、Who、
 When、Whyの順に要因を整理すると下記のようになります。参考として列記しま
 しょう。
 (1)計画者視点としての「スコープ(目的・範囲)」の要因
    実体(目的物)、プロセス、ロケーション、組織、マスタースケジュール、
    ビジョン
 (2)オーナー視点としての「エンタープライズ(ビジネスモデル)」の要因
    概念データモデル、ビジネスプロセスモデル、ネットワークモデル、ワーク
    フローモデル、イベントモデル、戦略モデル
 (3)設計者視点としての「システムモデル」の要因
    論理データモデル、情報プロセスモデル(DFD)、ネットワークモデル、
    ヒューマンインターフェース、イベントダイアグラム、ビジネスルールモデル
 (4)構築者視点としての「テクノロジーモデル(物理技術モデル)」の要因
    物理データモデル、機能構造図、サーバー・ネットワーク構成、ユーザー
    インタフェース/セキュリティ設計、コントロール制御、ビジネスルール設計
 (5)構築請負者視点としての「コンポーネント(構成要素)」の要因
    実装設計、プログラム設計・構築、ネットワークコンポネント、スクリーン
    設計・セキュリティ実装、タイミング定義、ルール記述
 (6)利用者視点としての「ファンクショニング(製品、企業機能)」の要因
    データベース、実行プログラム、ネットワーク、人、イベント、強制ルール

 米国連邦政府はこのザックマンモデルを引用し、連邦政府EAフレームワークVer1.1
(Federal Enterprise Architecture Frame)を、2001年には連邦政府EA実践ガイド
 を策定し、連邦政府のの業務・システム最適化/改革を推進しています。
 このザックマンモデルが日本のEAモデルでは如何に変換されたのでしょうか?
 次回にしましょう。
 第114回はここで終了します。
 今回は「EA出現の背景-その1」として、ザックマンモデルを中心に紹介しました。
 次回は「EA出現の背景-その2」でザックマンモデルのEAへの応用を取り上げます。

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