電子政府プロジェクトの目的と役割

ここから、申し上げるEAとは日本版EAである電子政府EAモデルを取り上げて行きます。
電子政府構築のためのEA策定ガイドラインから引用しますと、EAとは「組織全体の業務
とシステムを統一的手法でモデル化し、部局ごとではなく『全体最適』の観点から業務
システムを同時に顧客志向に改善していくための組織の設計・管理手法」(経済産業
省)と定義しています。言い換えると、EAは企業と業務システムの全体構造に対して、
整合性をもって設計・管理するためのシステムの見取り図というべきものです。
EA導入の目的は、以下のように定義されています。
 (1)IT投資の合理化・効率化する
  電子政府予算をより効果的、効率的に活用することであり、そのためには、現状
業務の明確化とそれによる改善が必要になる。
重複投資や無駄な行政プロセス最小化するために、18府省の中でEA開発対象となる
業務を21個の共通業務システムと各府省独自の51個の個別業務システムに整理し、
合理化・効率化を図ることになる。
 (2)高度な行政サービスの実現する
  顧客志向へ転換することで高度な行政サービスの実現することである。国民向けの
インターネットによるワンストップサービスや国民からのフィードバック意見を
受けるパブリックオピニオンによるモニタリング制度が組み込まれる。
 (3)統合化・合理化プロセスの提示する
  業務システムが向かうプロセスについての改革指針を提示できることである。業務
システムについて、「現状から理想像に向けた軸」に沿ってその移行プロセスを
決め、政策と情報技術の乖離を防ぐ。
 (4)長期的な設計思想を取り入れる
  アウトソーシングなど民間活力を活用した行政サービスの実現と情報システムは
長期的にWebベース技術に統合されていく観点で、セキュリティ確保が容易と
なる業務・システム構成を確保する。
以上のEAの目的は「政策」を「経営」に置き換えれば、民間企業でも同様に活用できる
ものです。作成されたモデルを民間へリファレンスとして提供し、民間での適用する
ことにも大きな目的があります。
EAが業務システムを設計・管理するシステムの見取り図とすれば、その役割が定義
される必要があります。
その役割は、以下の4つが定義されています。
 (1)「業務とシステム間の関係と現状の明確化」できること
  組織の業務・システム全体を「共通言語」による「統一的な手法」で記述し、組織
の所有者の立場から業務・システムの全体を把握できるようにする。
 (2)「現状から理想に至る活動の明確化と改善サイクルの確立」ができること
  業務・システムに関する組織全体での改善活動の道筋をつける。「アプローチの
定義」→「現状モデルの作成」→「理想モデルの作成」→「次期モデルの策定」→
「EAの利用」→「EAの保守」→「モニタリングとコントロール」→「管理体制とコン
トロールの確立」からなるEAプロセスの改善サイクルを確立することにある。
 (3)「情報資産と業務との関係の明確化」が出来ること
  データ体系の明確化を行うために機能中心の業務分析でなく、データ中心の業務
分析を行いシステム全体のデータ整合性を確立する。
 (4)「長期的な設計思想と技術の世代管理に関する指針」が出来ること
  理想(ToBe)モデルを描いていく時点で、業務・システム自体の設計思想を明確に
していくことを求めている。今回のガイドラインでは、行政事務サービスがWebベー
スのシステムへ移行するという前提のもとに進められている。ポータルサイトで
見受けられるように、消費者は一度入力をすれば、サービスを受け入れられる利便
性のある業務設計になる必要がある。EAの設計にはこのようなOne Writing 
Systemの構造が組み込まれることになる。
これらの役割を作り上げるために、ザックマンモデルが活用され、EAの機能体系が作成
されました。

第117回はここで終了します。
今回は「電子政府プロジェクトの目的と役割」を紹介しました。
次回は「EAのフレームワーク-全体機能」をとりあげます。

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