内部統制の目的と基本構成要素-その1

 内部統制の定義は「内部統制の目的達成のために、業務に組み込まれ、組織内の全て
 の者によって達成されるプロセス」とある。
 この目的をここでは日本版COSOの内部統制目的と基本構成要素を中心に話を進めて
 いきます。日本版COSOの内部統制には4つの目的、基本構成要素には6つの要素が
 ありました。順番に見ていきましょう。
 内部統制の4つの目的は「業務の有効性及び効率性」、「財務報告の信頼性」、「業務
 に係る法令等の遵守(コンプライアンス)」、「資産の保全」です。「資産の保全」
 は日本版COSOでの追加項目です。
 ◆「業務の有効性及び効率性」とは、業務目的達成のために、無駄なく有効かつ効率
  的に業務を遂行することを言います。例えば、生産プロセスを効率化していく
  「改善活動」は業務の効率性 と品質向上を目的とした内部統制になるわけです。
 ◆「財務報告の信頼性」とは、財務諸表や注記等に係る経営情報の信頼性を確保する
  ことを言います。例えば、企業はステイクホルダーに対し財務状態及び経営成績に
  関する情報を報告、開示することは資本主義の根幹を支える活動です。
  内部統制はこの活動を正しく行うことを意図して構築された仕組みをいうことに
  なります。
 ◆「業務に係る法令等の遵守」とは、事業諸活動において法令、規範、倫理、道徳を
  遵守することを言います。例えば、経営者は従業員に対して「法令や規範等の社会
  的なルールを守るように」伝えるだけでなく、教育を通じて法令遵守の実効性を
  高める仕組みを構築する責任が出てきます。
 ◆「資産の保全」とは、株主からの預かりものである資産の取得、使用、保管、処分
  を正確かつ適切に行うことを言います。例えば、企業は生産設備などの有形固定
  資産だけでなく、生産技術やデザインといった知的財産権も含めた資産の保全を
  図り仕組みを作り上げる責任が出てきます。
 日本版COSOでは内部統制の目的に「資産の保全」が追加されたと述べましたが、この
 項目は「財務報告の信頼性」では必然的に出てくるテーマです。
 ただ、日本ではより強調したかったことだと思われます。
 ここでの注意点は、日本版SOX法は「財務報告の信頼性」のみを内部統制の目的として
 いることです。上場企業に義務付けられている有価証券報告書が適切に処理されて
 いることが確認され、報告書に虚偽が無いことに焦点が当っています。
 従って、有価証券報告書の中心に記載される財務諸表の各勘定科目の処理の内部統制
 に向けての改善に重点が置かれることになります。
 その処理の内部統制の要素が6つの基本構成要素になるわけです。次回のテーマと
 しましょう。
 次回は「内部統制の目的と基本構成要素―その2」をテーマに取り上げます。

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