財務諸表アサーション

 内部統制の目的である“財務報告の信頼性”確保の判断基準として、財務諸表アサー
 ションがあります。
 内部統制の6つの基本構成要素(第142回)は内部統制の目的のための実施要件でした
 が、財務諸表アサーションは内部統制目的の達成を判断する監査要点です。
 逆の見方をしますと、業務プロセスが財務諸表アサーションを遵守できるように、
 6つの基本構成要素の仕組みづくりを行えば、“財務報告の信頼性”を確保できると
 いうことです。7つのアサーション(監査要点)があります。
 ◆「実在性」:資産および負債が実際に存在し、取引や会計事象が実際に発生して
  いることを言います。具体例としてあげますと、“貸借対照表に計上されている
  製品が販売可能の状態の実在庫として存在実在していることや売上計上が実際に
  履行された取引であること”などはこの実在性に当ります。

 ◆「網羅性」:計上すべき資産、負債、取引や会計事象を全て記録していることを
  いいます。
  具体的には、“全ての商品購入や販売、給与支払等、財務諸表の勘定科目の増減と
  なる取引が漏れなく記録され財務諸表に反映されていること”に当ります。

 ◆「評価の妥当性」:資産及び負債を適切な価額で計上していることです。
  例えば、“市場性のある有価証券は時価基準による評価を行っているや在庫商品を
  時価評価すること”などが該当します。

 ◆「期間配分の適切性」:取引や会計事象を適切な金額で記録し、収益および費用を
  適切な期間に配分していることを言います。
  例えば、“固定資産は取得原価で記帳され、規則的に減価償却されていること”
  などがそれに当ります。

 ◆「権利と義務の帰属」:計上されている資産に対する権利および負債に関する義務
  が企業に帰属していることをいう。
  例えば、“リース資産として計上された金額は当該資産に対する権利の対価である
  し、買掛金として計上された金額は債務としての義務です。そのような権利、義務
  の帰属を明確にすること”が該当します。

 ◆「表示の妥当性」:財務諸表において項目が適切に分類され、表記され、公表され
  ていることをいう。
  例えば、“流動負債に分類された借入金は一年以内に決済される”などは代表的な
  例です。
 以上の財務アサーションは「独立行政法人に対する会計監査に係る報告書」
 (財政制度等審議会)の実施基準の基本原則から引用したものです。会計監査人が
 監査する上で遵守し無ければならない判断基準としての原則です。
 日本版SOX法は“財務報告の信頼性”を目的として法制化しましたので、この7つの
 財務諸表アサーションが遵守した財務諸表を作成できる内部統制プロセスの構築が
 求められると言うことです。
 今回はここで終わります。

 この内部統制プロセスはIT化されているのが通常でしょう。そこでIT統制の必要性が
 浮上しました。次回のテーマとします。
 次回は「IT統制の構造」をテーマに取り上げます。

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