対象勘定科目選定と業務フロー

 内部統制プロジェクトの実施段階の主要文書の1つに「勘定科目の重要性判定」があります。

 内部統制では「財務報告の信頼性」を目的としますので、財務諸表の信頼性に焦点が当ることになります。

財務諸表の中心は貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)です。

 これらの報告書の勘定科目はあらゆる業務に関係しておますので、全ての業務調査が必要になるのでしょうか?

 平成18年11月21日に金融庁から発表されました「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施規準」によりますと、金額的な重要性の判断として連結総資産、連結売上高、連結税引前利益などに対する構成比率をその基準として掲げ低増す。

 例えば、連結税引前利益の概ね5%といった基準を設定しています。

 つまり、そのような影響を与える勘定科目に対して「信頼性を持った内部統制」を要求しているわけです。

 この勘定科目の重要度判定には「量的リスク」と「質的リスク」の両面をみてリスク判定をします。

 (1)「量的リスク」とは、その勘定科目の処理頻度の多さと金額の大きさをとらえたリスクです。

 (2)「質的リスク」とは、市場の変動や人為的な判断の影響を受け大きな変動を伴う勘定科目です。

   そのリスク要因には、
   ★有価証券のように“市場性”があり時価が変動する

   ★減価償却のように“陳腐化の要因”があり、経済的陳腐化が発生する

   ★顧客への仕切値等が関連し、“計算の複雑性”が生じる

   ★商品評価損等の主観的な判断等の“恣意性がある”もの

   ★社員申請等“不正”の入り込みやすい勘定科目

   ★減価償却費、前払費用などの取引等、収益および費用を適切な期間に配分の
    “期間帰属エラー”

   ★異例、特例、特殊取引のある勘定科目 等があります。

  重大なミス、不正や処理の不透明さを作り出す「量的リスク」や「質的リスク」を判断基準にして、対象勘定科目を選択し、その業務プロセスを識別する必要があります。

 重要勘定科目の選定が出来ると、この勘定科目に関係する業務プロセスを特定することが必要になります。

 対象の業務プロセスが特定できますと、その特定業務プロセスの業務フローチャートを記述します。

業務フローチャートは内部および外部会計監査において必須の文書です。

一般には、システム化業務が分かるように処理の流れに沿って、処理部門の関連をつけ記述する方式がとられます。

 この業務フローの中で対象勘定科目の財務アサーションに違反する可能性があると思われる業務をピックアップし、そのリスク事項を記述します。

こうすることで、リスクのある業務が明確になり、内部統制のための対策事項を作成することが可能になります。

 この業務プロセスリスク事項と対策事項をまとめたものがRCM(Risk Control Matrix)です。

 今回はここで終わりです。
 次回は内部統制の要となる「リスク・コントロール・マトリクス(RCM)」をテーマに取り上げます。

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