ITコーディネータの動き方 提案編

これは ITコーディネータ が提案に取り組み、成約にたどり着くまで、どのようなステップがあるのかを紹介するものです。事例をもとに構成していますが、説明用に加えた点や事情により省いた点もあり、事実そのままを示すものではありません。

提案活動のはじまり

提 案のきっかけは、 登録していた案件紹介サイトに企業からのシステム化コンサルティングの引き合いが出されていたことによる。これをコンサルティングの実績をあげる絶好の 機会と考え依頼案件に応募することになった。

た だ、その時点で既に先方の選考作業は始まっており、かなり出遅れている感じであった。また、大手を含め十数社に事前ヒアリングを行って提案要請先を 絞り込み、さらに提案書の内容を評価したうえで、そこから最終プレゼンに残るのは3社程度という選考手順からみても、かなり成約は厳しいのではという印象 ではあった。しかし、たとえ失注しても提案を行って他者としのぎを削ることは ITC としての経験にはなるので、できる限りのことはやってみようということで提案活動を進めた。

事前ヒアリング(初回訪問

先 ず、事前ヒアリングでは、 ITC というものを紹介しながら、そのミッションである「経営と IT をつなぐ」重要性を説明し、目標はあくまでも経営目標を実現するために業務を変えていくことであり、システム導入はその手段にすぎないことを強調した。さ らに、ベンダー系のコンサルはシステム開発主導型で、自分たちの開発に役立つような結論しか出ないことが多いことを指摘し、業務とシステムのバランスがと れた客観的な成果を期待するのであれば、中立的な ITC を選択するべきだ、と力説した。

その結果、企業からの提案要請を受けることができた。第一関門の突破である。

提案の背景

提案要請に際しては企業から今回のプロジェクトの概要と現状業務の説明資料が提供され、資料の中には事前に社内で調査したとされる課題も提示されていた。

提 案対象は基幹系業務システムの再構築であった。現在運用している基幹系システムは陳腐化しており、機能的に現状業務にそぐわない点が多いために補完作業が 多く非効率な面が多く、また、経営層からも動きをタイムリーに把握できないので打ち手が遅れるとの不満も出ていた。さらに、システムダウンがたびたび発生 するというシステム運用面でも不安定な状態にあった。

ただ、企業としては、単なるシステムの入れ替えではなく、これから先のビジネスの動きも見据え、今後の企業活動を支援できるような新しいシステムを構築したいという思いがあった。

しかし、社内要員だけでは現行業務もあるために検討に十分なパワーは割けず、また、新しい視点を盛り込むには外部ノウハウを活用することが有効ではないかということもあり、コンサルを活用しようということになったらしい。

提案書の作成

提 案書は、 ITC プロセスをベースにしながら、これまで実施してきた業務設計のプロセスを適用したものにした。先ず、前半の経営的な部分は、ITC のミッションである「経営とITをつなぐ」という点と「プロジェクト成功させるためのポイント」を説明し、後半の具体的な進め方の部分は、「今回の 課題」を確認したあとに、業務設計の流れについての成果物イメージを示しながら「業務分析」から「システム化」までの各タスクとその進め方を説 明する形にまとめた。提案書はあまり分量を多くすると焦点がぼけるため、参考資料を含めても総ページ数は 20 ページ程度に抑えた。

こうして出来上がった提案書を提出したところ、5日後に企業から最終プレゼンへの案内が来た。第二関門の突破である。

最終プレゼン

最終プレゼン会場には、事前ヒアリングから対応いただいたプロジェクトメンバーに加え、社長をはじめとした経営層や関係各課の責任者など、総勢三十数名が並んでいた。

プ レゼンは質疑も含め1時間とされていたので、あらかじめ二人の間で時間配分を調整し、前半は経営層向けに危機感を抱かせるような話を行い、後半では実務者向けに現場の悩みなどに触れながら具体的な手順やスケジュール、体制について説明するようにした。説明も単に提案書の文章を読むだけではイン パクトに欠けるので、プレゼンテーションのアニメを活用し、見ているだけで説明の流れがわかるような形を心がけた。結果、概ね好評な印象であり、終わりに は皆様から拍手までいただいた。

そして、この数日後、「御社と一緒にやらせていただきます。」という連絡を受け取り、見事に成約となった。

成約の要因と今後

競 合相手には準大手のコンサル会社から大手ベンダーまでが参加しており、その中で成約を勝ち取れたのは、ひとつには我々が個人事業者であり余計なオー バヘッドがないために一般のコンサル会社に比べて費用面で有利であったことと、損を承知で低価格で提案した大手ベンダーが、我々が常に主張していた中立性 の確保ということで警戒されて選択から除外されたという点があげられると思う。

加えて、自分たちの持っているスキルやノウハウなどの強みが今回の取り組みにどう役立つのかについて、提案書やプレゼンを通じて真摯に訴えたことが実を結んだとも信じている。

ただ、提案だけ成功したとしても意味はなく、いかに期待にこたえて定められた期間内に新業務をまとめ、かつ、調達からその後の業務運用の実行までをいかにうまく支援して、このプロジェクトを成功に導くかがより重要であることは言うまでもない。

成約というのは、ゴールではなくスタートである。

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