経営戦略論とSWOT/BSC

このテーマを取り上げましたのは、SWOTやBSC等のような経営手法は実践的ということで良く取り上げられますが、当職が経験しました企業を拝見していますとほとんど有効な活用になっていないところが多いと感じています。

これらの手法が悪いのではなく、ほとんどが表面的な理解で活用されているために有効な改善策策定の活用になっていません。
例えば、経営戦略論といわれるコトラーの「マーケティング理論」やポーターの「バリューチェーン」などデファクトスタンダードとなった理論があります。
これらは、事業の成功要因であるCSFの発想には無くてはならない基礎知識データとなります。デファクトスタンダードとなっている経営戦略論は、現代にも通じるメッセージを発し、活用されている理論です。

たとえば、コトラーの「市場地位に基づく企業の競争戦略」は、トヨタやホンダの戦略を見るとそのまま当て嵌めてもまったく不思議ではありません。
同様に、セブン・アイで実践してきた“ドミナント戦略”は「ランチェスター戦略理論」ですし、松下電器の改革はポーターの「バリューチェーン理論」を踏まえています。
優秀企業や優秀経営者には、このような経営戦略論の基礎知識が組み込まれている場合が多いと感じます。“知識なきところに、発想なし”ということでしょう。

この戦略論に対し、経営手法は経営ビジョンを作り上げる方法論を取り上げています。
たとえば、SWOT分析は外部環境要因を「機会と脅威」に選別し、また内部環境要因を同業他社に対しての「強みと弱み」に選別し、内外環境要因をマッチングすることでより良いCSFの創出を可能にしています。

しかし、一般には、このCSFの前のSWOT要因で躓いています。
「強み/弱み」は同業他社のどこかを特定しないと出てきません。
「機会/脅威」は脅威の定義基準をしっかり設定しないと分類できません。
例えば、“この3年以内で自社の体力では対処できず収益低下をもたらす要因”などです。よく現在の競争環境の要因を全て脅威要因としているところがありますが、SWOTの要因分類すら出来ていない状況に出くわします。CSFを創出の前段階の問題です。“SWOTは役立たない”といわれているのはこんな能力のところです。
CSFは経営ビジョンにある事業を成功に導く要因ですからSWOT分析は経営ビジョンを策定する経営手法ということができます。
このCSFの創出に、経営戦略論の知識が必要になってきます。
一方、BSC分析の戦略マップは、経営ビジョンに至る戦略目標の道程を表しているということができます。

戦略マップの“戦略”は、経営戦略の略称ではなく経営ビジョンを成し遂げるためのマイルストーン(中間目標)の道程マップということです。
そういう意味で、SWOT分析の後の手法ですね。
財務、顧客、プロセス、スキルの4つの視点で経営ビジョンにある経営目標を達成するステップと捉えることができます。
といいますのは、「財務の視点」の戦略目標は、経営ビジョンの経営目標をあらわしていると捉えることができます。
また、「財務の視点」と他の「顧客の視点」、「内部業務プロセスの視点」、「学習と成長の視点」には従属関係がありますので、それぞれの視点の戦略目標は「財務の視点」の戦略目標の前段の達成すべき状態を表していることになります。

SWOT分析とBSC分析は「財務の視点の戦略目標」を介して接合すると、3年後の経営ビジョンに対する各期のマイルストーン(中間目標)がBSCの3つの視点の戦略目標とSWOTのCSFはオーバラップしてきます。
こうして見ますと、SWOTのCSFはBSCの4つの視点で再検証し、道程化することになっていませんか?
一般に、SWOT分析とBSC分析を別々な手法として活用されているところがありますが、
この両手法を活用することで、経営ビジョンの具体的デザインが可能になってくると思いませんか。

今回はここで終わります。
次回は、「BSC分析とモニタリング」を取り上げます。

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