経営戦略とは-2

経営戦略を概観したので、次に経営用語を整理しよう。
◆「経営理念」
「社是」や「使命」という表現をする企業もあるが、企業の社会における存在価値を表現したものである。言い換えれば、「何のために企業を創立したのか」に応えるもので、企業が存在する限り普遍的なものとなる。
たとえば、住友商事の経営理念に“信用を重んじ着実を旨とする”が300 年前からある。この理念の意味するところは「顧客の信用の下に、誠実で適正な利潤に基づいた生業をする」ということである。すなわち、理念は企業のアイデンティティ(存在価値)を表現したものである。

◆「経営ビジョン」
経営理念の下に企業が存続するにしても、適正な利潤が常に確保できないと破産してしまう。経営理念も達成できないことになる。常に適正な利潤を上げるためには経営環境の変化に経営活動を対応し、社員の意思を方向付けすることが求められる。
経営ビジョンはこのような経営環境の変化に対応して企業のあるべきイメージを経営理念のもとで表現したものである。
通常、3 年や5 年ビジョンの形で作成される。
ソニーの井深氏は創業時のビジョンとして「真面目なる技術者の技能を最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」と言っている。
企業のイメージが沸沸と湧き上がるようである。
◆「経営方針」
経営ビジョンは3年後(一般的には)の会社のあるべき姿を描いたものであった。
このビジョンを具体化するには、事業分野を明確にしなければならない。すなわち、ビジネスとすべき商品やサービスとその為の市場と市場ニーズである。これが決まると、現状をこのビジョンに到達させるための方向付けが出来る。これが「経営方針」である。一般に、SWOT 分析手法はこの時点から活用される。
たとえば、IBM では経営ビジョンとして「サービスビジネス提供企業」を設定した。このための経営方針として実勢から「コンサルティングサービス」、「アウトソーシングビジネス」、「SI ビジネス」、「顧客満足度向上(オンディマンド)」を設定している。

◆「経営目標」
経営方針が決まると経営ビジョン達成時の売上、利益や利益率のような達成目標を決める。これが「経営目標」である。経営目標は現状の経営能力から方針毎に適切な最終目標と期毎のマイルストーン目標(=中間地点の目標)を設定する。
◆「経営戦略」
経営目標が設定されると、その目標を達成するための経営資源を期毎に最適配分しなければならない。この経営資源(ひと、もの、かね)を最適配分するこの方策を「経営戦略」という。
この資源の配分の方法には、既存の商品や事業を強化していくための「既存の機能を強化する資源配分」と新商品開発や新市場開発等の新規事業のための「プロジェクトとしての資源配分」がある。
経営方針は企業が有する体力、すなわち経営資源の能力に合わせて市場や商品を限定することで経営戦略となる。例えば、“経営方針でのコンサルティングビジネス”は経営戦略では、経営体力から“中堅製造業向けのIT コンサルティングビジネス”のように絞り込まれ、有限の資源を配分するための方策として策定される。
◆「中期経営計画」
経営戦略による経営資源の配分が決まると、経営目標達成までの期毎の利益計画を作る。経営目標と経営戦略による利益計画を期毎に調整し、資金計画を加え「中期経営計画」を作成する。
「利益計画」とは、売上予算、費用予算そしてその収支としての利益(=儲け)を計画したものである。
「資金計画」は年度での正味運転資金(≒現金)の過不足を算定し、資金調達計画を作成する。
◆「短期経営計画」
次年度分に対して、経営戦略は月度ごとに経営施策に展開され、月度別の利益計画、資金繰り計画を加味して「短期経営計画」が作成する。