バリューチェーンとは

「バリューチェーンと5つの競争要因」はマイケル・E・ポーターによって提唱されたメソドロジーである。「バリューチェーン分析」は業務プロセスを中心とした内部環境分析の視点に立っており、「5つの競争要因分析」は業界環境を中心とした外部環境分析の視点に立っている。
まず、内部環境分析である「バリューチェーン分析」から解説する。

(1)バリューチェーンとは
製造業の業務の流れを例に取り上げると、その業務の流れは材料を購買し、製造によって製品を作り、販売店へ出荷し、お客様への販売&保守等のアフターサービスを行う業務の流れで構成される。
この一連の業務活動は購入した100 円の材料をいくつかの製造工程や流通工程の作業を通して200 円で販売できる商品に作り上げる。この商品がお客様から喜んで購入していただけるとすれば、この業務活動は付加価値をつける活動と言える。
すなわち、この業務活動は価値をつけるための連鎖、業務の「価値連鎖」になっていることから、バリューチェーンと言われる。

ポーターはバリューチェーンを企業活動の観点で見て、「基幹業務」活動と「支援業務」活動の2つの分野のバリューチェーンに分けた。
基幹業務活動は仕入先からの材料購入からサービスまで直接、商品への価値をつける活動業務とし、支援業務活動はその基幹業務の付加価値形成を支える人事・労務、研究開発、調達、総務等のいわゆる本社機構といわれる基幹業務を支える業務とした。したがって、バリューチェーン分析とは基幹業務と支援業務に対してよりマージン(=利益)を上げる、逆に言えばコストを下げるための改善分析をすることになる。
改善分析は「個々の業務の改善」と「業務活動の共通化」の2つの側面から行う。

1)「個々の業務の改善」分析とは
個々の業務機能の品質を上げ、製品のコストを低減する改善分野を明確にすることである。
基幹業務の改善分野の例では、トヨタのカンバン方式のような「材料・資材の最適なタイミングでの調達」、「製造リードタイムの短縮」、「効率的な配送」などが挙げられる。

一方、支援業務の分野では「最良立地の倉庫設置」やスキル向上のための「営業・技術要員の教育」、迅速・正確な業務処理のための「情報システム化」などがある。
このように、基幹業務と支援業務における個々の業務の改善分野を明確にし、改善策を立てていくことがこの分析である。

2)「業務活動の共通化」分析とは
業務を共通化することでバリューチェーンを上げる考え方である。
たとえば、冷蔵庫を製造・販売している事業とパソコンを製造・販売している事業があるとしよう。
両製品のバリューチェーンを良く見ると、基幹業務の材料購入、製品加工・組み立て、出荷物流、販売、アフターサービスの各業務のなかで、材料の共同購入や製造ラインの共有、共同配送、保守要員等、共通化できる業務活動を共通化することで、さらにバリューチェーンの価値を上げていくことが出来る。共通化することで、それぞれの事業で100 人掛かっていた要員が合計の200 人ではなく、120 人にまとめられる。 そのことで、より強い付加価値が生まれることになる。

すなわち、製品間、事業間の支援業務、基幹業務を共通化することは企業全体の付加価値を創ることになる。この分析が「業務活動の共通化」分析である。