「新規参入の脅威」とは

文字通り、自社の現在の業界に新しく企業が参入し、市場のシェアを奪っていく脅威をいう。すなわち、参入企業が増える程、より競合関係が厳しくなるからである。
参入企業が増える脅威は「参入障壁」の高さに依存する。参入障壁とはこの業界に参入する困難さの度合いをいう。
例として、参入障壁の要因である「必要資本額」、「規模の経済性」、「製品の差別化」「乗換コスト」、「政府の政策」を取り上げて解説しよう。

◆「必要資本額」:事業を始めるのに投下資金の多さ度合いによる障壁である。
たとえば、現在の自動車業界のように1工場建てるのに1,000 億円以上が必要とすれば、この資金調達の出来る企業でなければ参入できないことになる。
逆に、それほどの資金を必要としないソフトウエア業界や土木業界などは多くの新規参入者があり厳しい競合関係が存在することになっている。

◆「規模の経済性」:業界の市場が規模の大きさによって左右されるか否かによる障壁である。薄利多売による広い市場を確保しなければ成り立たない業界では、運用要員、設備、広告宣伝等の運用資金は多大になる。必要資本額と同様な状況での参入の困難さが生じる。
全国版のGMS(General Merchandise Store:総合スーパー)スーパーや宅配サービスなどの小売業やサービス業に見受けられる。

◆「製品の差別化」:製品の技術や品質に係る困難さの障壁である。たとえば、新製品、新技術を矢継ぎ早に適用している薄型テレビ、携帯電話、モバイルPC 等の業界はそのような差別化技術を開発できる要員を有していないと参入が困難になる。組織の研究開発力による差別化である。

◆「乗換コスト」:現在購入している製品・設備・サービスを他の製品・設備・サービスに換えるときの困難さ度合いをコストで表したもので、そのコストの高さの障壁をいう。
例として、情報業界で乗り換えコストを高くする方法として PC を販売しているA,B の2社のコンピュータディーラで考えてみよう。
A,B 社ともにある顧客へPC のみを販売している状態であれば、より安価なPC提案を採用するであろうが、A ディーラがヘルプデスク機能を備えPC 運用の指導をする関係を築いていたとする。そうするとB 社のPC を購入した場合、自社のPC 運用について指導してきたヘルプデスクの機能が現在と同レベルになるまで生産性の向上コストを再び費やす価値があるか考慮しなければならなくなる。
すなわち、高い乗換えコストが発生するわけである。新しい PC と新しいディーラへ乗換えるコストを比較し、そのコストに勝る提案でない限り、簡単には乗り換えをしないことになる。
さらに、A 社が情報化のコンサルティング指導で効果的な成果を上げていたとすると、PC の乗り換えにより大きなコストを支払うことになる。
すなわち、「乗換コスト」はサービスのレベルによって、参入障壁を高くすることが出来る。これは戦略である。

◆「政府の政策」:法的な規制を乗り越えないと参入できない法制度による障壁である。例えば、製薬業界は薬事法による規制の中で成り立っている業界である。新規参入するにはこの薬事法に基づく製造、販売の規制を受けるために、この規制を乗り越える力量を持つ企業でなければ参入できないことになる。