業績評価指標の設定

バランス スコアカードの「4つの視点」のもう1つの活用法である「業績評価指標の設定」を取り上げる。
4つの視点の因果関係によって作成された経営施策(=BSC では戦略目標という)はその施策が確実に実施されたか否かを検証する(=モニタリング)ことができるように計数化することが必要である。

この係数化された指標をKPI(=Key Performance Indicator)という。
経営施策による業績目標を管理する指標であることから業績評価指標とも言われる。

1)KPI(=業績評価指標)
KPI はその指標の依存関係から、上位にある「成果指標」と成果指標の下位層にある指標の「先行指標」の2種類の指標に分解する。
たとえば、売上高、利益高や利益率などは成果指標であり、この成果指標を作り上げる下位層の顧客満足度や納期遵守率などは先行指標といわれる。
4つの視点の因果関係で述べた「財務の視点」、「顧客の視点」、「内部業務プロセスの視点」、「学習と成長の視点」のKPI は順に「成果指標→先行指標=成果指標→先行指標=成果指標・・・」の関係にある。この見方がKPI 関係に対する1つの見方である。

もうひとつの見方は財務の視点と顧客の視点の KPI を成果指標のKPI とし、内部業務プロセスの視点と学習と成長の視点を先行指標のKPI とする見方である。
この見方は「財務の視点」や「顧客の視点」の指標を成果指標とし、「内部業務プロセスの視点」と「学習と成長の視点」は成果指標を達成するための先行指標(=プロセス指標)として捉える。プロセス指標は「ひと」や「もの」が実際に活動するための指標であり、成果目標はその活動の集積として捉えられるからである。
次は、この KPI を“経営施策から如何にして作成するか”をテーマとする。

2)経営施策(=戦略目標)のKPI 化
経営施策のKPI 化は「経営施策」→「重要成功要因(=CSF)」→「業績評価指標(=KPI)の手順で指標化する。
例として、4つの視点の因果関係の展開で経営施策が財務の視点から順に、「利益の増大」→「顧客満足度向上」→「納期遵守」→「社員満足度向上」が策定された仮定しよう。
「利益額増大」と「顧客満足度向上」の指標化を例にとって説明しよう。

①「利益額増大」の指標化
この施策は利益額や利益率としてすぐ管理指標化することは容易である。
ただし、この指標が施策の意味を十分に表していないとすれば、この指標だけでは正確な管理できなくなる。たとえば、この施策の意味が「売上高の増大」と「コストの削減」であったとすると、成果指標のKPI である「利益率」のもとに、その意味付けされた先行指標のKPI である「売上高成長率」や「売上高コスト比率」が設定できる。このKPI は施策の業績をより具体的に評価できる下位の指標となっている。ここで考慮したこの意味づけをBSC では重要成功要因(CSF:CriticalSuccess Factor)という。

②「顧客満足度向上」の指標化
この施策は顧客満足度指数として指標化できる。
ただし、この指数は顧客からのアンケート等を踏まえて収集するしかないので、より人為的な操作が加わることになる。このような指標は的確な管理データに基づくべきとするKPI としては不適切である。KPI は業績評価指標であるから、より客観的な計数値で評価されるべきである。

上記と同様に CSFを考えるが、このような計数化されていない施策に対するCSFの発想の仕方は異なってくる。
「顧客満足度が向上した時、どのようなビジネス状態になっているか?」とイメージする。この状態は経営施策が達成できたときの状態をイメージすることになる。その状態をイメージすることで顧客数が増えたり、提案契約数が増えたりしていることが創造できるはずである。このイメージからCSF 要因として「顧客数増大」や「提案契約数の増大」を導き出す。
この要因を計数化すると、KPI としてより客観的な「顧客増加率」や「提案契約数」という指標が客観的な代替指標として設定できる。

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